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第86回碁界の礎百人―大逆転、小林光一の大三冠ならず【小林光一⑤趙治勲⑧】

 小林光一VS.趙治勲のライバル対決が最も人気を呼び、注目を集めたのは、平成2年(1990)から4年までの3年連続の本因坊戦七番勝負だった。棋聖と名人の二大タイトルを保持する小林と、本因坊を死守する趙。しかし小林は本因坊も併呑しようとしていた。
 まず平成2年の本因坊戦。第7局までもつれ、4勝3敗で趙が勝利。翌年も小林が挑戦者になったものの、4勝2敗で趙の防衛。そしてその翌年も小林が挑戦者に。ひと口で3年連続といっても、リーグ戦を勝ち抜いてだから大変なことだ。挑戦手合を前にして趙は「今年は年貢の納めどき。小林さんとの三部作の完結編になる」と語った。
 確かに年貢の納めどきの様相だった。小林はいきなり3連勝。誰もが小林の本因坊獲得、同時に棋聖、名人と合わせて大三冠達成を疑わなかった。しかしここから趙の反撃が始まる。第4局から5、6局を制し、本因坊の行方は第7局に持ち込されたのである。その一局を紹介しよう。

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