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第48期名人戦七番勝負第4局【2日目タイムライン(更新19:00)】

 3連勝で防衛まであと1勝としている芝野虎丸名人に、奪還を目指す井山裕太王座が挑戦する第48期名人戦挑戦手合七番勝負(主催:朝日新聞社)の第4局が大阪府守口市「ホテルアゴーラ大阪守口」で打たれている。
 対局は、10月12日(木)に井山王座が54手目を封じて打ち掛けとなり、13日(金)に再開した。
 対局2日目の模様をタイムラインでお届けします。

第48期名人戦七番勝負第4局
手番  :黒番=芝野虎丸名人
     白番=井山裕太王座
持ち時間:各8時間、残り10分より秒読み
主催  :朝日新聞社
立会  :山田規三生九段
新聞解説:村川大介九段
記録  :小松大樹四段、村本渉四段
囲碁将棋TV」映像解説:佐田篤史七段
ネット「幽玄の間」解説:富士田明彦七段
優勝賞金:3,000万円


9:00 対局再開

 芝野名人が先に入室し盤石を手拭いで拭き清める。続いて井山王座が入室すると対局室の空気がピリっと張り詰めた。
 定刻9時に立会人の山田規三生九段の合図すると、昨日までの手順の並べ直しが行われ、封じ手が開封された。

定刻9時に立会人の山田九段(中央)の合図で昨日までの手順が並べ直された
芝野名人、ストレート防衛なるか
井山王座、巻き返しなるか
封じ手開封

 井山王座の封じ手は、「14の五」トビ。
 

10:30 形勢は「白良し」

控室では封じ手前後を中心に検討が続く

 封じ手は「一番厳しい」と立会人の山田九段。
 形勢は「白良し」と検討陣。

≪参考図≫

 ≪参考図≫
 白△の封じ手には黒Aコスミツケに白Bと受けると黒Cにノゾく手などの味が残っているが、いっぱいに頑張った手。

YouTube「囲碁将棋TV -朝日新聞社-」で解説する佐田篤史七段(左)と大橋成哉七段

 消費時間 黒(芝野):4時間45分 白(井山):4時間12分

11:10 名人、勝負手か

≪≫実戦進行≫

≪≫実戦進行≫
 黒1は名人の勝負手気味の一手。中央から左辺で何か成果がないと勝負にならない。
 白4を見た山田九段は”刺激的”と表現、「井山王座らしい厳しさのある手」。
 黒は中央左方と中央右方に二つの弱い石がある。白は気になるのが中央だけなうえに左上にはコウが残っている。
 黒の方が、工夫が必要とされる難しい戦いが続いている。

 両者、30分前後の長考が続いており、進行が遅い。11時の時点で井山王座は消費時間が5時間を超えた。


12:00 昼休憩

 〈第48期名人戦挑戦手合七番勝負 第4局〉
 黒 芝野虎丸名人 白 井山裕太王座
(1-62までの手順)

白50(46)、黒53(47)
芝野名人側から見た盤面
2日目、昼休憩中の対局室
芝野名人 大阪産「なにわ黒牛」の肉うどんと穴子の箱寿司
井山王座 大阪産野菜と渡り蟹のトマトパスタ

消費時間 黒(芝野):5時間47分(残り2時間13分)
     白(井山):4時間40分(残り3時間20分)


13:00 対局再開

 最後の休憩を終え、勝負の場へ戻った芝野名人と井山王座。いよいよ雌雄を決する。

先に入室したのは芝野名人
この時間帯は障子越しに日差しを背に受ける。険しい表情で盤面を見つめる名人
リードした状態で勝負へ向かう井山王座
時間となり一礼。対局再開

14:28 難解な変化を含みつつも白優勢

黒1-白10(実戦 黒59-白68)

≪実戦進行≫

≪実戦進行≫
 黒1からの逃げ出しは仕方がない。調子で白2と頭を出し、4と手を戻して形を整えた。
 黒5は昼休憩再開後の一手。黒7は、9のツケを狙っているのが見え見えなので白10は早かった。着手の早さは「読めている」という意味を込めているのではないかと立会人の山田九段。
 AIは白優勢と示しているが、まだ難しい変化が多いと検討陣。


15:00 おやつ

芝野名人 プレミアムモンブラン~栗凛~
井山王座 フルーツの盛り合わせ

消費時間 黒(芝野):残り1時間11分
     白(井山):残り2時間38分


16:40 苦悩のワケ

 名人は黒73で長考した。現在、黒81まで進み白が考えている場面。

実戦 黒81まで

白50(46)、黒53(47)
≪参考図1≫

 ≪参考図1≫
 白82手目で仮に白1とノビたら、黒は右辺を止めたいので黒2とツケても白3、5がうまく9のカケまで、黒三子が取られてしまう。

≪参考図2≫

 ≪参考図2≫
 同じく白82手目で仮に白1とノビた場合、黒2にコスんでも白3から5にトバれる。黒6から8としても、白11から出切られて19まで黒五子が取られる。

≪参考図3≫

≪参考図3≫
 黒2とトンでも、白3のノゾキを利かされ5から9で白aとbが見合いとなり黒は取られている。

≪参考図4≫

≪参考図4≫
 さかのぼって、実戦の黒73で逃げるだけなら黒1が普通だが、白2、4から追われ、黒9までの姿は黒がつら過ぎる。


16:50 中央の攻防

実戦 黒85まで

≪実戦進行 黒85まで≫

≪実戦進行 黒85まで≫
 白82はアテ。続けて白84と出た。

≪参考図≫

≪参考図≫
 黒85で、黒1と打ったとすると、白2に対して黒3がうまいのだが、白4のアテから6と打たれて黒石が丸ごと取られてしまう。


17:01 井山王座、快心勝利!

 芝野名人が投了、井山王座が初白星をあげた。

検討の様子。名人の表情から本局への思いが伝わってくる
「ひとつ返せたのは良かった」と井山王座
「不本意な内容」に、局後も険しい表情の芝野名人

局後コメント

 ―井山王座―

「最後は全部黒が助けてきても行けそうだなと読んでいました。とりあえずひとつ返せたのは良かったです。次につなげたい」

 ―芝野名人―

「苦しい形勢にしてしまった。実戦はチャンスがなく、内容もよくありませんでした。切り替えて次に向かいたい」

 〈第48期名人戦挑戦手合七番勝負 第4局〉
 黒 芝野虎丸名人 白 井山裕太王座
92手完、白番中押し勝ち

白50(46)、黒53(47)

◇終局時刻:17時1分
◇残り時間:黒(芝野)6分、白(井山)1時間33分

 注目の第5局は10月23日(月)、24日(火)山梨県甲府市の「常磐ホテル」で行われる。
 対局についてはネット対局「幽玄の間」、朝日新聞の「囲碁将棋TV」等にてご覧いただけます。(今回、日本棋院囲碁チャンネルでの配信はありません)

 棋譜解説は、後日棋道webで公開いたします!


名人戦挑戦手合七番勝負 日程・成績

芝野虎丸名人 3勝―1勝 井山裕太王座


第1局 8月24日(木)、25日(金)
     東京都文京区「ホテル椿山荘東京
             芝野虎丸名人、白番中押し勝ち

第2局 9月2日(土)、3日(日)
             鹿児島県霧島市「霧島神宮
             芝野虎丸名人、黒番中押し勝ち

第3局  9月19日(火)、20日(水)
              愛知県田原市「角上楼
              芝野虎丸名人、白番中押し勝ち

第4局  10月12日(木)、13日(金)
              大阪府守口市「ホテル アゴーラ大阪守口
    井山裕太王座、白番中押し勝ち

ホテル アゴーラ大阪守口

第5局  10月23日(月)、24日(火)
              山梨県甲府市「常磐ホテル

第6局  11月2日(木)、3日(金)
              神奈川県箱根町「ホテル花月園

第7局  11月9日(木)、10日(金)
              千葉県木更津市「龍宮城スパホテル三日月



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