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羽根、光る冷静さ【第72回NHK杯】

 羽根直樹九段(47)は28年連続29回目、張豊猷九段(42)は5年ぶり10回目の出場。中盤、下辺の攻防で優位に立った羽根が、その後も的確に打ち進め、張の追い込みをかわした。解説は寺山怜六段。


〈第72回NHK杯1回戦・第3局〉
黒 羽根直樹九段 白 張豊猷九段

羽根(左)と張

※最終譜のあとに棋譜再生機能があります。

〈第1譜〉1―32

 対戦成績は羽根の4勝3敗。6年ぶりの対戦となる。「羽根さんは地にからく、渋い。攻めよりシノギ派です。張九段は典型的な力戦派。厚みを重視します」と寺山六段。
 立ち上がり、小目の大ゲイマジマリに対するツケ(白14)は、AI(人工知能)が大いに採用する手法。黒15は当然の一手として、黒17のサガリが少々珍しい。「黒19、白18を先に決めてから黒17が最も多い」。
 白18に黒19としたので、同じ形になったが、黒19では1図、1のマガリもある。「黒5までがAIの教え。白は手を抜き、互角です」。
 黒27までは定型の一つ。黒は地を稼ぎ、白は厚みを築いた。互いに棋風通りの進行である。白28から黒31も定石。先手で決めてから、白32と右辺に芯を入れた。「白28で2図、すぐに1と構えるのは、黒2のハサミが厳しい。後から白3のカケは黒4、6と競り掛けられ、苦しい」。

1図
2図

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