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第65回碁界の礎百人―第1期天元に藤沢秀行【藤沢秀行⑥大平修三③】

 名人戦問題の起こる前から、日本棋院選手権を打ち切り、新棋戦に移行する動きが急になった。そのころ、日本棋院選手権の観戦記を担当していた筆者は、新聞三社連合(北海道新聞、中部日本新聞と傘下の東京新聞、西日本新聞)の能智映記者とよく酒を飲んでは、新棋戦のことを話し合った。新棋戦の名前を天元戦とするのは能智の主張である。天元には碁盤の中心点のほかに万物の君主という意味があるらしい。すぐあとに中国でも天元戦がつくられたのが能智の自慢だった。筆者は優勝賞金を一番にすることを提案した。こうしてできたのが神戸新聞(関西棋院選手権戦を主催)も加わり、優勝賞金五百万円の天元戦である。社告で発表すると、能智のもとには藤沢秀行から「本当に五百万出るのか」と電話があったとか。名人戦の賞金が三百万円のときの五百万は確かに大きい。

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