第92回碁界の礎百人―若手進出、揺れる世紀末のタイトル戦線【趙治勲⑪王立誠①】
20世紀が終わろうとするころ、タイトル戦線も大きく揺れ動く。まず平成11年(1999)の本因坊戦。10連覇中の趙治勲は母国の後輩、趙善津の挑戦を受け、2勝4敗で本因坊の座を明け渡してしまう。このとき趙治勲43歳、趙善津29歳。現在の感覚では43歳まで本因坊を維持したのは大偉業といっていい。しかも棋聖と名人はともに4連覇である。
しかし20世紀最後の平成12年は、趙治勲にとってつらい結果が待っていた。王立誠の挑戦を受けた年初の棋聖戦は、2勝1敗とリードしたところまでは趙のペースだった。だがしかし、第4局で信じられない逆転負けを喫する。「この碁をもって、このシリーズは終わった」と語った棋士もいたくらいだ。続く第5局も内容はよかったのに勝ち切れない。そしてここに紹介する第6局。「打っただけ」というのは極言としても、戦う気力が残っていなかったのか、短手数で終わってしまう。
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