第100回碁界の礎百人―異色の棋士・坂井秀至、碁聖を獲得【張栩④坂井秀至①】
異色の棋士といえば坂井秀至にとどめを刺す。兵庫県三田市の医師の父の影響で碁を始め、佐藤直男九段の子供教室に通う。一歳上には結城聡がいた。灘中学1年からは結城らとともに藤沢秀行名誉棋聖が主宰する合宿や研究会に参加。灘高校時代は全国高校選手権団体戦3連覇を果たし、数々の個人戦優勝も。
大学受験のときは碁から離れたものの、おもしろいエピソードがある。受験の面接で大学に入ったら何をやりたいかと問われ、碁をやりたいと答えた。面接官は内科とか外科を聞きたかったのだろう。これで落とされたわけではないとしても、2年間の受験浪人を経験した。その後、京都大学医学部に進み、世界アマチュア選手権優勝も経験した。
28歳で大学卒業し、医師国家試験合格。京都大学附属病院に研修医として配属が決まっていたが、碁を学ぶ時間がなくなるのはつらいと思い、関西棋院にプロ入りの申請を。これで飛付五段を得た。以後の歩みは順風そのもの。関西棋院第一位決定戦で優勝したり、名人戦リーグには通算8期、名を連ねた。そして平成22年には碁聖戦挑戦者決定戦で山下敬吾を破り、張栩碁聖への五番勝負に挑んだ。ここでは2勝2敗で迎えた最終局を紹介しよう。
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