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碁界の枠を超えた学び【藤澤一就八段特別インタビュー・中編】

 藤澤一就八段の中編では「子供を育てるとはどういうことか」「AI時代で激変した碁界」、そして心理学や経済行動学など他分野から教育のヒントを掴み、引き出しを増やし続ける、藤澤八段の積み重ねてきた努力の一部を紹介します。


子供を育てる本質

国内外の棋戦で活躍し続ける上野女流名人

 ――上野愛咲美女流名人は対局前に運動するとよく聞きます。先生が進言などされたんですか?
 「プロ試験の前にお父さんから『どうすればよく寝れるか』と相談され、『体を動かした方がいいんじゃないですか?頭も活性化します』という話をしました。最終的には『ジョギングは手軽ですし、縄跳びならその場から動かなくてもできます』と具体的な方法も話し合ったので、子供の頃からやっていたと思います。最初の頃、お父さんがジョギングに付き合っていました。プロ試験が始まり、内容が良くなかったのでご両親に道場の近くへきてもらい、想定される原因を相談して対策を立てました。もちろん、本人には言わないです。気にしてしまうので」

 ――上野女流名人の運動習慣やプロになるまでの道のりに、そうした背景があったのですね。
 「ご両親が素晴らしいと思います。院生になる前は、こども教室に送り迎えで週5日ですよ。普通続かないですよ。女の子だから、お迎えは中学生まで来ていたと思います。妹(梨紗二段)もいたので、トータルで10年以上続けていたはず。大変なことですし、4、5歳でうちに預けて『お任せします』て言われて、こっちが頑張りますという感じでした」

 ――子供に教える場合、親御さんの協力も必要ですね。
 「級位者で伸びる子は『集中力が高い』『囲碁が好き』ですが、それに加えて『親の協力』も必要です。低学年だと送り迎えは必須ですからね。最終的には本人が頑張るのですが、どのように頑張らせるか、どう背中を後押しするかが重要です」

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