井山、会心勝利! 第3局棋譜解説【第72期王座戦五番勝負】
井山裕太王座に芝野虎丸九段が挑戦する「第72期王座戦五番勝負」(主催・日本経済新聞社)第3局は両者1勝1敗のあとを受けて11月26日、兵庫県神戸市「ホテルオークラ神戸」で行われ、116手までで白番の井山が中押し勝ちしてタイトル防衛にあと1勝と迫った。第4局は12月6日、神奈川県秦野市の「陣屋」で行われる。
本局の立会人は山田規三生九段、記録係は村本渉四段と小西理章二段、新聞解説は佐田篤史七段、現地大盤解説は結城聡九段と小野綾子初段(聞き手)、YouTube「日本棋院囲碁チャンネル」・ネット対局『幽玄の間』解説は大橋成哉八段。
(記・榎本弘幸)
〈第72期王座戦五番勝負・第3局〉
黒 芝野虎丸九段 白 井山裕太王座
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〈第1譜〉1-20 「意欲的な一手」
芝野先勝のあと井山がタイに戻して迎えた第3局。互いに黒番を入れあって再び芝野の先番で対局が始まった。左下白10の後、部分的には黒aのヒラキが定石だが、芝野は黒11と二路右に寄せた。「下辺はなぜかこの位置が多いですね。黒Aはのちの白Bが厄介なのでしょう」とネット解説の大橋八段。互いに大場を打ち合い、黒17と模様を広げたときに右下白18に突入である。
ここで芝野の放った黒19のトビに、「これは想定できませんでした」(大橋八段)と、意表をつく一手に驚きを隠さない。常識的には1図、黒1のコスミツケだが、白2から4といったサバキが想定される。それを嫌ったか、それともこれで打てるの判断だったかは定かでないが、意欲的な一手である。対する白20のスベリは冷静で隅に根拠を求めている。
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