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女流本因坊戦開幕前インタビュー【藤沢里菜】

 第42期女流本因坊戦五番勝負で藤沢里菜女流本因坊は、次世代のエース候補である上野梨紗二段と対決する。4連覇を目指す藤沢は「(囲碁を)人生の中で一番楽しんでいる」と語った。女流本因坊戦への意気込みやプライベートのことも含め、盛りだくさんの内容をお送りする。


偶然ではなく実力

女流本因坊3連覇中の藤沢

――上野梨紗挑戦者の印象をお願いします。
 藤沢「時代ですね(笑)。入段当初から強くていつタイトル戦に出てきてもおかしくなかったので、『偶然ではなく実力』という印象です」

――ここ最近、さらに力をつけてきたなという印象はありますか?
 「この間の女流立葵杯では負けそうになりましたし、安定して勝率を上げている印象です」

――ご自身の4連覇について
 「あまり意識してないですけれど、(普段の女流棋戦の手合より)持ち時間が1時間長いのは大分違うので、うまく使えればと思っています」

――持ち時間について
 「最初、持ち時間4時間は合わないと思ったのですが、最近は合ってるかなと思います。早打ちなので不思議ですけれど、考え始めたら考えられるという感じですね。前期を振り返ると、序盤で丁寧に時間を使えたのが、悪くならずに打てた理由かなと思います」

若手の到来!藤沢の心境

2022年4月の女流名人戦で藤沢(右)が仲邑菫三段の挑戦を退けた

――自分より若い棋士と対決する心持ちは?
 「以前に仲邑菫さんと打った経験があるので、今回はそこまで意識せず臨めそうです」

――上野梨紗さんの棋風はどう分析していますか?
 「読みが強く、手厚い印象で攻めの棋風。詰碁をたくさん解かれているので、私も詰碁を解いて臨もうと思います」

――どれくらい詰碁を解く予定ですか?
 「梨紗さんがたくさん解いているので…1日500問以上を目標に(笑)」

――上野さんの調子をどう見ていますか?
 「全体的な総合力が以前より増していると思います。豊かな発想が面白いので、挑戦手合での対局が楽しみです」

人生の中で「好き」を実感

第33期女流本因坊戦の対局風景。藤沢は10期連続で挑戦手合に出場している

――ご自身の変化はありますか?
 「最近は『囲碁楽しんでる』という感じがします。今までの人生の中では一番好きかな。対局も勉強も含めて。前まではそこまで好きじゃないと思っていたんです。(囲碁が)近過ぎる存在で、好きかどうか難しかった。今は『意外と好きか』と感じています」

――それはなぜでしょうか?
 「わからないですね…。何かつかえていたものが取れたのかもしれません。ただ、成績が良くないので頑張らないと」

世界に羽ばたく姿

6月11日の呉清源杯で、藤沢が世界戦ベスト4進出を決めた

――そうは言っても、呉清源杯などでは結果が出ていますよね?
 「国際戦では自信がつきました。韓国女子リーグなどで。でも国内戦ではレジェンド達にやられていて、内容も良くないですし…」

――韓国で活躍する姿は、とても楽しんで打っているように見えます。
 「碁が変わったよねと友達に言われます。具体的には、力碁になった?とか、戦闘の碁になったね、と言われるようになりました。自分から攻める棋風ではないんですけれど」

――今年の成績について
 「無冠の危機ですね。調子が悪いと言うわけでもないんです。だから負けても落ち込んでいませんし、前よりも悲壮感がなくなりました」

――五番勝負の展望は?
 「(碁の内容で)戦っている未来もあまり浮かばなくて、どういう展開になるか未知数ですね」

韓国女子リーグに参戦する藤沢(写真提供・韓国棋院)

――若き挑戦者の勢いは感じますか?
 「そこまで意識しないと思いますけれど、対局していたら勢いあるなと感じるかもしれません。アジア大会のチームメンバーなので、(プライベートでは)和気藹々としたいですね」

――囲碁以外の梨紗さんの印象は?
 「ものすごくいい子。純粋だなと思います。入段当時からも『変わらないでね』って言ってます(笑)。変わらずに成長してほしいですね」

――お姉さんとの違いは?
 「お姉さん(愛咲美女流名人)は天真爛漫な印象で、梨紗さんは落ち着いている印象。精神年齢が高くて当時の私に言い聞かせたい。普段から同世代と同じように話しています」

――五番勝負への抱負をお願いします。
 「早いですね。一瞬でこの時期がきてしまいました。今年も女流本因坊戦を打ててうれしいです(10期連続)。一局一局丁寧に楽しみながら気を引き締めていきます」


プライベート編

――勉強の方式は?
 「主にナショナルチームの研究会に行っています。それ以外は基本、家にいます。月に5、6回研究会にいく感じです」

――家ではどうされていますか?
 「ネット碁とか詰碁、AIでの序盤研究です」

――運動方面はどうですか?
 「ウォーキングをやってたんですけど、夏は熱くてできなかったです。今はピラティスをしています。5ヵ月続いていて過去最高記録です」

チームワーク抜群のアジア大会の女子メンバー

――ピラティスは大まかなにどんなものですか?
 「筋トレみたいなもので、スクワットなどの課題を出されたりします」

――手合で体力に苦しんでいる印象はありませんが、疲れている時もあるんですか。
 「ありますよ。4、5時間でも対局中は大丈夫ですが、終わってからくる感じです。3時間より大分違いますね」

――課題は?
 「たくさんありますが、布石はどんどん進化させていきたい。戦いの判断も伸ばしていきたい」

趣味は「徐文燕ちゃん!」と語る藤沢

――戦いの判断と形勢判断の違いは?
 「大分違います。AとBのコースがあった時に正しい判断を下せるか。形の判断になりますね。例えば、山下先生(山下敬吾九段)や愛咲美ちゃんがうまいです」

――趣味は?
 「徐文燕ちゃんですね(笑)。この間手合が終わったあと、みんなで焼肉を食べにいって、徐文燕ちゃんが家まで見送ってきてくれたんですよ。どうやら私の部屋に来たかったみたいで、すごく仲良くしています!後は韓国で美容形のパックを買ってみたりです」


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