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第29回碁界の礎百人―アマ碁界に巨星現る【菊池康郎】

 今回は菊池康郎(1929―2021)を取り上げる。菊池の才能にいち早く注目したのは安永一やプロ入りして間もない影山利郎だった。安永が主幹をつとめる「囲碁春秋」では専修大学生の菊池をしばしば登場させ、話題を呼んだ。そして決定的だったのは、「囲碁」の高段プロとの二子局シリーズだった。指導碁とはいうものの、完全な勝負碁である。持時間は5時間か6時間。菊池は集中しすぎて盤側に倒れることもしばしば。プロは威信を賭けて菊池を負かそうとした。
 二子局シリーズで菊池は掲載順に、宮下秀洋七段、瀬越憲作八段、雁金準一八段、坂田栄男八段、木谷實八段、鈴木為次郎八段、高川格本因坊、橋本宇太郎八段に勝って8連勝。藤沢庫之助九段には苦杯を喫したものの、岩本薫八段、藤沢秀行七段に勝ち、通算10勝1敗。これで菊池の名は広く知れ渡ったのである。その中から対坂田戦を紹介しよう。

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