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第36回碁界の礎百人―碁を知らない人も魅了【玄々子(宇崎重二)】

 今回は棋士ではなく、玄々子(宇崎重二、1905―1963)が主役である。宇崎は戦後すぐ日本棋院に迎えられ、「棋道」などで健筆をふるった。ペンネームの玄々子の名を高めたのが朝日新聞の主催する大手合と、その延長である最高位戦の観戦記である。碁を知らない人にも読まれたという観戦記の一部を紹介しよう。

〝島村八段はひとりの少年を連れて芝生の上をぶらり歩いていた。「私に四子で打てるようになりましたよ」筆者にこういって、にっこりする。長男道博君だ。しばらくすると木谷さんが三女禮子さん(棋士初段、18歳)と一緒にやってきて破顔一笑……「おやおや、親のケンカに子供が出てきた。いっそ子供の対局でかんべんしてもらえんか」〟

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