日本のホープの強さと課題【福岡航太朗五段インタビュー】
次代の日本碁界を担う大器・福岡航太朗五段に、6月に行われた中国丙級リーグや、国際棋戦と国内棋戦の違い、さらには普段の勉強法や自らの課題について、率直に語ってもらった。(記・関根新吾)
7戦全勝で昇格
――まずは5月31日から6月7日にかけて中国浙江省で行われた中国丙級リーグについてうかがいます。日本チーム(芝野虎丸九段、広瀬優一七段、酒井佑規五段、福岡五段)は7戦全勝で乙級への昇格を決めました。
福岡五段「僕と広瀬くんが2年連続の丙級参加でしたね。今回はチームメンバーの年代が近いこともあって、気楽な感じで過ごせました。虎丸先生が声をかけて、みなで打ったばかりの碁の検討をしたり、わいわい和やかに検討していましたね。それでひと通り調べて『それではみなさん、明日も頑張りましょう』と。虎丸先生が先頭に立ってチームをまとめてくれて、それがありがたかったですね」
――写真で見るかぎりですが、会場がとにかく広いですね。
「丙級だけで30数チームありますし、同じ部屋で女子の乙級リーグも行われていました。選手だけでなく、コーチや関係者も出入りしていますので、常時200人くらいはひとつの会場にいる感じです」
――それはすごい。日本ではなかなか見られない規模の対局ですね。
「丙級リーグは中国の国内ではとても大きい棋戦です。ほかの棋戦は(国家チームに呼ばれるような)上位の棋士が参加することが多いのですが、中国の有名ではない若手が唯一参加できる棋戦なんですね」
――たしかに対戦表のメンバーを見てみると、見たこともなかった棋士ばかりですね。
「イメージとして甲級リーグには有望な若手がいて、乙級には中堅棋士であるとか、次に強くなりそうな若手棋士がいて、丙級ではあまり知られていない選手が出てくる、という感じです。丙級といってもどの選手をみても強いですよ。丙級で好成績をあげれば、乙級など上のチームにスカウトされるということもあるみたいですからね」
――サッカーのJ2で得点王になれば、J1のチームから引き抜かれる、みたいな感じですね。それならみな必死で打つわけだ。
「虎丸先生は今回7戦全勝でしたが、その虎丸先生クラスの棋士でも全局完勝というわけにはいかない。苦戦させられることもあったようです。僕自身はかなり危なかった。第1戦は半目勝負でしたし、第6戦はほとんど負けのところからの逆転でしたし」
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