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第34回碁界の礎百人―木谷、病を克服して快進撃【木谷實④坂田栄男③】

 昭和29年(1954)、44歳の木谷實は突然、病に倒れた。高血圧症からくる脳出血である。入院そして自宅療養は2年近くに及んだ。特筆すべきは療養中にもかかわらず、内弟子を育成したことだろう。その一人が大竹英雄少年である。
 木谷が手合に復帰したのは30年秋。最高位戦が主な舞台だった。読売新聞の呉清源十番碁、毎日新聞の本因坊戦に比べると、単なる昇段争いの大手合は華やかさと盛り上がりに欠ける。そこで朝日新聞は大手合の延長として最高位戦を設け、囲碁欄の充実をはかったのである。第1期最高位戦は、九段から七段までの9名によるリーグ戦で争われ、坂田栄男九段が第1位になり、最高位のタイトルを獲得した。
 第2期から出場した木谷はリーグ戦7局目で九段に昇り、通算7勝1敗で第1位に。全盛期の入り口にあった坂田最高位に挑戦した。その四番勝負(2勝2敗の場合、第5局を行う)第3局は木谷の名局として知られる。

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