見出し画像

安達、半目残す【第72回NHK杯】

 安達利昌七段(33)は5年連続6回目、上野梨紗女流棋聖(18)は初出場。研究会仲間でもある2人の対局は、序盤からねじり合いを展開。激戦は最終盤まで続いたが、安達がかろうじて、逃げ切った。解説は張豊猷九段。


〈第72回NHK杯2回戦・第6局〉
白 安達利昌七段 黒 上野梨紗女流棋聖

安達(左)と上野

※最終譜のあとに棋譜再生機能があります。

〈第1譜〉1―38

 ともに張九段が主宰する研究会「今研」の常連。勝手知ったる間柄である。「安達さんは研究熱心で、AI(人工知能)時代の現代っ子という感じ。上野さんはお姉さん(愛咲美女流立葵杯)より藤沢(里菜女流本因坊)さんに近い。戦いは嫌いでないが、足早なイメージです」。対戦は昨年に1度(2023年11月、本因坊戦予選A)あり、安達が半目差で制している。
 立ち上がり、上野が早速、工夫を見せる。黒15のトビだ。「昔はAやB。黒15は最近出てきた手で、白Cの押しには黒Dと頑張ります」。
 黒17とツケたのも積極的。受け方を問うた。白18、20は気合の手抜き。黒も21から25と一杯に食いつき、早くも険しい雰囲気が漂う。白26で1図、1の切りから3は「黒4がピッタリのワタリ」。

1図

 白26、28が返し技。黒29まで決めてから、白30、32とした。「今度は1図と同じように、黒Eとワタれない。白Fと出られ、崩壊します」。
 ただ、白28では2図、1とアテるのが面白かった。「黒2のツギなら、そこで白3の切り。黒4なら白7まで、ツブレです」。

2図

 なので、黒は3図、黒4とかわすのが肝要。「これが最善で、いい勝負のワカレ」。

3図

 黒も37とすぐに生きたのが疑問。「4図、黒1、3を決めてから黒5と生きるべき。黒3と抜けているのが厚い」。

4図

 白38までで上辺の競り合いは一段落。「互角。見事な攻防でした」。

ここから先は

2,163字 / 23画像
この記事のみ ¥ 220

よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!