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棋聖戦第4局こぼれ話

 棋聖戦七番勝負は、第5局を終え一力遼棋聖が3勝2敗。防衛3連覇にあと1勝と迫りました。「一気に駆け抜けてほしい!」、「井山裕太王座にぜひとも勝ってもらって7局目まで見たい!」……さまざまな応援の声が聞こえてくるなか、今回は、シリーズ中盤の山場・第4局の観戦記(3月4日から読売新聞に掲載)には書けないような、いえ、書ききれなかった「こぼれ話」をお届けします。同行した棋士は、立会人の高尾紳路九段、新聞解説の孫喆七段、記録の青木裕孝三段と徐文燕二段、現地大盤解説者の林漢傑八段、聞き手の謝依旻七段、ネット対局サイト「幽玄の間」・Youtube解説の鈴木伸二八段、日本棋院常務理事の溝上知親九段。翌日から指導碁の外柳是聞五段も加わりました。

 対局地は、一力棋聖の故郷、仙台市。前日の昼過ぎ、東京駅のホームに集合です。今回は井山王座も東京駅からの出発でした。両雄は離れた所に立っておられました。
 さて、仙台駅に到着すると、勝手知ったる一力棋聖がスタスタと歩き始め、皆が棋聖の背中を追いかけました。「ここが自分が通ってた小学校です。隣が高等裁判所で、たまにニュースで映ると、自分の小学校が映るかもしれないと思って。それが楽しみでした」とにこにこ顔で高尾九段に語りかける一力棋聖。宿泊ホテルまでは駅から徒歩10分弱でしたが、迷うことなく、おそらく最短コースで到着できました。

 両対局者がホテルでチェックインしている間、一行はコーヒーを飲みながらのくつろぎタイム。「このあとは、仙台城址の伊達政宗の銅像の前で記念撮影です」と声がかかると、高尾九段が「でも伊達政宗は独眼だからなぁ……生きてない」とポソリ。そんなこと、考えてもみませんでした!

仙台城跡の伊達政宗公騎馬像前で記念のフォトセッション

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