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芝野がチャンスをとらえて先勝【第72期王座戦五番勝負第1局・棋譜解説】

 現在3連覇中の井山裕太王座に芝野虎丸名人が挑む「第72期王座戦」挑戦手合五番勝負第1局(主催・日本経済新聞社)が10月16日、東京都港区「グランドプリンスホテル新高輪」で行われた。
 井山はここで防衛を果たせば王座獲得が通算10期となり名誉王座の称号を獲得できる。一方の芝野は3年前に井山に奪われた王座位の奪還を目指す戦いとなった。
 立会人は小林覚九段、記録係は大西研也六段と竹下凌矢二段、新聞解説は高尾紳路九段、映像解説に横塚力七段。
(記・関根新吾)

対局場が行われた「グランドプリンスホテル新高輪」
握りが行われ、芝野の先番と決まった

〈第72期王座戦五番勝負・第1局〉
 井山裕太王座 黒 芝野虎丸名人

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〈第1譜〉1―30 「芝野の超過密日程」

 第1局なので握りが行われ、芝野の先番と決まった。両者とも力が強く戦いを辞さぬ棋風だけれど、本局の出だしはとても穏やかに進む。
 そのあいだ、控室では芝野の対局スケジュールが話題となった。すでに名人戦と並行して天元戦も戦っているうえに、16日にはこの王座戦が開幕。つまり、いまの芝野はタイトル戦の三段重ねなのだ。この開幕局の翌々日、18日には北海道で天元戦第2局。20日には東京本院で棋聖戦挑戦者決定トーナメント、22・23日には箱根で名人戦第5局、25日は蒲郡で王座戦第2局とまさに重要対局が目白押し。
 小林九段は「芝野さんの疲れ具合が気になるねえ」と話していた。「(相手の)井山さんや一力さんはしぶとい打ち手だからね、これまでの対局を見ていると、勝つにしても負けるにしてもそう簡単に勝負が決まらない難局ばかり。芝野さんは大変だな」と同情顔である。

YouTubeで解説をする立会人の小林九段と映像解説担当の横塚七段(右)

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