一力が難解なコウ争い制す【第79期本因坊戦五番勝負第3局・棋譜解説】
5月30日に「第79期本因坊戦五番勝負」(主催・毎日新聞社)の第3局が、三重県鳥羽市「戸田家」で行われた。一力遼本因坊が大石の生死を賭けたコウ争いを制し、余正麒八段に勝利した。空中戦から全面戦争へ発展した本局の内容をお届けする。
第1譜(1―53)「戦いの呼吸」
黒23のツケは、左辺の模様へ働きかける現代戦法。白24から黒37で互いに模様を広げる展開に。黒49から51と下辺に迫るも「黒53と下辺に迫るのは、少し違和感があります」と伊田九段。理由の1つは、黒Aは白B以下と止められるため、部分的に厳しい後続手段がないからだ。
参考図1(手堅い石運び)
黒1から5と左下を補強するのが無難。白6から8と切断されても、黒9以下で右辺を広げる要領。aとbを見て、下辺の白地が大きくなりづらい場なので、黒悪くない展開。
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