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一力が難解なコウ争い制す【第79期本因坊戦五番勝負第3局・棋譜解説】

 5月30日に「第79期本因坊戦五番勝負」(主催・毎日新聞社)の第3局が、三重県鳥羽市「戸田家」で行われた。一力遼本因坊が大石の生死を賭けたコウ争いを制し、余正麒八段に勝利した。空中戦から全面戦争へ発展した本局の内容をお届けする。

第79期本因坊戦五番勝負第3局
黒 余正麒八段 白 一力遼本因坊
結果:258手完、白中押し勝ち
持ち時間:各3時間、5分前より秒読み
主催:毎日新聞社ほか
特別協賛:大和証券グループ
協力:「戸田家」
対局会場:三重県鳥羽市「戸田家
立会:結城聡九段
新聞解説:伊田篤史九段
大盤解説:瀬戸大樹八段三島響初段
記録:孫英世六段岩田紗絵加二段
幽玄の間解説:六浦雄太八段

【対戦成績】
第1局:一力本因坊、白中押し勝ち
第2局:一力本因坊、黒中押し勝ち
第3局:一力本因坊、白中押し勝ち
一力本因坊が3勝0敗で防衛
※YouTube中継はこちら
※棋譜再生はこちら

翌朝のインタビューに応じる一力本因坊。「3連勝で防衛できてほっとしています。もちろん、長引くとスケジュールが厳しくなることもありますが、第4局の箱根で勝ったことがなかったんですよね(笑)」

第1譜(1―53)「戦いの呼吸」

 黒23のツケは、左辺の模様へ働きかける現代戦法。白24から黒37で互いに模様を広げる展開に。黒49から51と下辺に迫るも「黒53と下辺に迫るのは、少し違和感があります」と伊田九段。理由の1つは、黒Aは白B以下と止められるため、部分的に厳しい後続手段がないからだ。

参考図1(手堅い石運び)

 黒1から5と左下を補強するのが無難。白6から8と切断されても、黒9以下で右辺を広げる要領。aとbを見て、下辺の白地が大きくなりづらい場なので、黒悪くない展開。

攻めの棋風の余八段が、戦いの進行へ導いた

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