一力の力強い石運びで圧倒!貫禄の2連覇達成【第50期天元戦五番勝負第4局・棋譜解説】
11月28日に「第50期天元戦五番勝負第4局」(主催・神戸新聞社、新聞三社連合)が兵庫県洲本市「ホテルニューアワジ」で行われ、一力遼天元が芝野虎丸九段に勝利し、3勝1敗で連覇(通算3期)を果たした。
一力天元の局後インタビュー
――今年の秋、芝野九段とは天元戦を始め、名人戦や王座戦挑戦者決定戦、阿含・桐山杯決勝と重要な対局が続いています。あらためて、芝野九段の印象を教えてください。
「この三ヵ月間だけで12局打っています。常に新たな発見がありましたし、自分の感性にない手を打たれることも多々ありました。天元戦のシリーズは苦戦する内容が多かったので、課題を見つけられたかなと思います」
――天元戦と名人戦と並行して対局する流れとなりました。あらためて、本シリーズを振り返っていかがでしたか?
「2勝1敗で第4局に臨めましたが、第1局と第3局は負けていてもおかしくない内容でしたので、難しいところをものにできたのが多かったと思います」
――一力天元が地を稼ぎ、芝野九段が模様を張る展開が多かったと思います。序盤はどのように臨まれていましたか?
「今回のシリーズに限らず、対照的な展開になった印象はあります。お互いの言い分とスタイルを突き通した結果だと思います」
――第4局の前に中国甲級リーグへ出場するなど、国内外で忙しいスケジュールでした。
「応氏杯以降も国際戦と国内戦が続いていましたが、目の前の一局一局に集中することを意識していました。国内戦では天元戦防衛などの結果を残せて、今ある力を発揮できたと思いますが、国際戦は応氏杯以外では結果を残せず、まだまだ強くなれる余地はあるのかなと思います」
――国別対抗戦の農心杯出場や、棋聖戦で井山裕太王座と対決するなど、休む暇がない日々が続きます。今後の棋士としての目標を教えてください。
「これからも多くの棋戦が並行して続きます。ただ、目の前の一局に集中するということは変わりません。今後もコンディションを整えて臨んでいきたい」
第1譜(1―31)「実利VS.模様」
黒番は一力天元。序盤は黒1から13と足早に地を稼ぐ進行を選択。一方、白番の芝野九段は白14から20と上辺の勢力圏を広げる対照的な展開となった。黒31まで、白が上辺の黒をどのように攻めるかが焦点となった。
参考図1(シノギの手順)
例えば、白1と迫るのは、黒2と白3を交換された後、黒4以下でaとbを見て連絡する手段が用意されている。また、cの様子見も有力となるため、上辺の黒を攻めるのは見た目以上に難しい。
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