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羽根くん、鈴木さん 初優勝【第48回高校選手権全国大会・個人戦】

 第48回文部科学大臣杯全国高等学校囲碁選手権の全国大会が7月22日から24日の3日間、日本棋院東京本院で開催された。
 団体戦と個人戦があり、個人戦は23日午後と24日に行われ、男子98名、女子96名が熱戦を繰り広げた。男子は羽根和哉さん(愛知・愛知工業大学名電高3年)、女子は鈴木時さん(秋田・秋田市立御所野学院高2年)がそれぞれ初優勝となった。
(記・光井一矢)

 16組に分かれて1次リーグ3回戦を行い、1位が枠抜け、そこから先はトーナメント戦で争った

第48回文部科学大臣杯全国高等学校囲碁選手権大会
主催:日本棋院、全国高等学校囲碁連盟、高等学校文化連盟全国囲碁専門部
後援:文部科学省
協賛:株式会社ブルボン、ウシヤマ電機株式会社、囲碁・将棋チャンネル

男子の部

 男子は高レベルな戦い。昨年優勝の小島二十さん(大分・大分東明高)が準々決勝で昨年の中学生名人・深田裕仁さん(筑波大学附属高)に敗れるなど実力伯仲の中、決勝に進出したのは、春の選抜大会との2冠を目指す羽根和哉さんと、アマチュア本因坊戦で大阪代表の経験がある内田勝仁さん(兵庫・雲雀丘学園高)。羽根さんは準決勝で元院生の川邊悟志さん(東京・東京大学教育学部附属中等教育学校)を破り、内田さんは準決勝で深田さんに勝利した。

 決勝戦の模様を審判長の石倉昇九段の解説でお届けする。

〈第48回高校選手権男子個人戦・決勝〉
黒 羽根和哉(愛知) 白 内田勝仁(兵庫)
153手完、黒中押し勝ち

棋譜再生はこちら

〈総譜〉1―153

白146(131)

 左上は最近研究されている形。白44から46の持っていき方は才能を感じる打ち方。白56は57にハネたい。黒57とノビた感じは黒が良い。白70に対し黒71ではここを手抜き、77の三々に先行したかった。白74までAの生きを確保し、76の好点にまわっては白が打ちやすい。黒81、83は手厚く負けにくい碁を打つ羽根さんらしくない無理気味な手。白100にまわって白が優勢。
 ところが、白120が大失着で121にオサえる一手。黒120と切って攻め合いであるが、これは白の勝ち。白120と緩めたために収拾がつかなくなり、逆に白が大崩壊となった。

羽根さん(左)と内田さんの決勝戦。盤側左は審判長の石倉九段、中央は審判の白石勇一七段

 局後、羽根さんは「優勝が目標だったので嬉しい」と笑顔を見せた。今回の大会のために10秒の秒読みの対策を行ったという。今後について「まず8月にある高校総合文化祭での優勝を目指したい。プロも少しは考えている」と目標を語った。
 羽根さんは羽根直樹九段のご子息で、何かアドバイスはあったかという質問に「特になかったです」とのことだが、会場にはご家族の姿が見えた。

女子の部

 女子は、春の選抜大会優勝の鈴木時さんが決勝トーナメント1回戦で田口心温さん(埼玉・栄東高)との大接戦を制してベスト8進出、2年連続準優勝の黒川智美さん(栃木・國學院大學栃木高)も順当にベスト8へ。
 注目は佐藤美空さん(埼玉・埼玉県立特別支援学校塙保己一学園)。佐藤さんは視覚障害があり専用の碁盤アイゴを使用しての対局となった。石が込み合ってくると乱れて見えるので、終盤はものすごく大変だという。そんな佐藤さんが8位入賞。「初めての全国大会でベスト8に入れて嬉しい。来年はもっと強くなりたい」と語った。

アイゴを使用しての対局。左が佐藤さん。

 準決勝は鈴木さんが黒川さんを破り、決勝進出を果たした。もう一方の山の準決勝は、元院生の倉谷圭乃さん(東京・女子聖学院高)が石原莉子さん(愛知・南山高女子部)を破って勝ち上がった。

 女子の決勝も石倉九段の解説でお届けする。

〈第48回高校選手権女子個人戦・決勝〉
黒 倉谷圭乃(東京) 白 鈴木時(秋田)
204手・以下略、白7目半勝ち

棋譜再生はこちら

〈総譜〉1―204

 黒27は頑張り過ぎで28に打っているべき。白32から34がいい手で、右下を生きた時点で白が良い。黒53から59と分断にいったのはすごい手だが、白70の切りが冷静で中央を捨てて十分。白84の肩ツキから決めて96と隅を守って白リード。上辺で怪しい場面もあったがヨセが上手く、白194が決め手。右下がセキとなっては白勝勢。

鈴木さん(右)と倉谷さんの決勝戦

 優勝後、鈴木さんは「まさかという感じ。信じられない。ベスト8までいければと思っていた」と喜びの声。2年生の鈴木さんは連覇を目指すと来年への抱負を語った。
 鈴木さんも男子の羽根さんと同様に2冠となった。

ベスト8で記念撮影。前列左から女子4、3、2、1位。男子1、2、3、4位。後列左から女子8、7、6、5位、男子5、6、7、8位

【男子の部入賞】
①羽根和哉(愛知・愛知工業大学名電高等学校3年)
②内田勝仁(兵庫・雲雀丘学園高等学校2年)
③深田裕仁(東京・筑波大学附属高等学校1年)
④川邊悟志(東京・東京大学教育学部附属中等教育学校3年)
⑤小島二十(大分・大分東明高等学校3年)
⑥高橋大地(神奈川・慶應義塾高等学校3年)
⑦草木和仁(京都・同志社国際高等学校2年)
⑧高山 皐(秋田・秋田県立秋田高等学校2年)

【女子の部入賞】
①鈴木 時(秋田・秋田市立御所野学院高等学校2年)
②倉谷圭乃(東京・女子聖学院高等学校2年)
③黒川智美(栃木・國學院大學栃木高等学校3年)
④石原莉子(愛知・南山高等学校女子部1年)
⑤徳廣来美(神奈川・カリタス女子高等学校3年)
⑥篠原由奈(愛知・愛知県立千種高等学校1年)
⑦迫 蒼生(鹿児島・鹿児島高等学校2年)
⑧佐藤美空(埼玉・埼玉県立特別支援学校塙保己一学園1年)

※全選手の成績など大会の詳細はこちら

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