バラエティー満載の風物詩【浴衣囲碁まつり2024in東京】
7月20日に「浴衣囲碁まつり2024in東京」が日本棋院東京本院で行われた。総勢32名の棋士が集まるビックイベント。真剣勝負から笑い弾けるバラエティーまで盛りだくさんの模様をお届けする。(詳細はこちら)
酒井五段の剛腕炸裂
ステージイベント第1弾は「令和三羽烏に挑め!俊英トーナメント~準決勝~」で福岡航太朗五段と酒井佑規五段が対決。両者とも各棋戦で大暴れしている若手のホープ。
本局は、中盤で福岡五段が僅かにリードするも、後半で酒井五段の勝負手から大石を仕留め切る豪快な内容となった。ハイライトとなった局面を振り返っていく。
ハイライト図1「中央へ先着」
黒番は酒井五段。黒1に受けず、白2と中央へ向かう進行を選択。序盤から前例のない面白い立ち上がりを見せた。
ハイライト図2「機敏な石運び」
白1から9と下辺の白を捨て石に、左下の黒を飲み込みながら、上辺の補強したのが機敏。僅かに白が打ちやすい形勢となった。
ハイライト図3「大石仕留める」
黒1と急所を突いた瞬間、白2と懐を広げるも、黒3が中手に導く決め手となり、上辺の白が頓死する結果に。aやbを見られて、白に活路がありません。
〈浴衣囲碁まつり2024・令和三羽烏に挑め!俊英トーナメント~準決勝~〉
黒 酒井佑規五段 白 福岡航太朗五段
209手完、黒中押し勝ち
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面白い回答が続出!?
ステージイベント第2弾は「棋士ならわかるよね!?囲碁将棋の名言格言クイズ」。出演した棋士は、将棋の武富女流初段・脇田女流初段ペアと鈴木八段・謝七段ペアと兆三段・金子二段ペア、辻三段・安田初段ペア。出題されたなかから1問をご紹介しよう。
「あの『?』を止めてください」(加藤一二三さんの名言)が出題され、各々のペアで答えを提出。各ペアの回答を以下にまとめていく。
じつは万波奈穂四段にも事前にそれぞれの出題に回答してもらっていた。本題は「飛車」と万波四段。「違う」と下島八段に言われると「角だったかあ~」と万波四段……。
その他の出題に対してもユニークな回答が多く、会場はそれぞれのペアの回答が発表される度に大いに盛り上がった。
まさかの結果に
ステージイベント第3弾は「以心伝心!絆No.1ペア決定戦!」。このコーナーでは、出題されたものに対して、ペアの片方が何を考えているか、もう一方が当てられるかというゲームだ。出演されたのは安藤五段・中島三段ペアと孫七段・星合四段ペア、横塚力七段・大西六段ペア。出題されたなかから1問をご紹介しよう。
「3億円の宝くじに当選!お金の使い道を今ひとつ選ぶなら?」という出題。
真っ先に、星合四段は「正解できます!」と勝利宣言。それぞれのペアの結果を見ていく。
安藤五段「旅行」、中島三段「北海道旅行」と見事に一致した。「いつも旅行へ行きたいと聞いていたので」と安藤五段。
横塚七段「貯金。これは自信があります!」と宣言するも、大西六段の回答は「家にサウナ」。まさかの不一致。
星合四段「貯金、孫さんはあまりお金を使わないタイプなので」と話すも、孫七段の回答は「豪邸」と真逆の結果に。
薄氷の半目勝負へ
ステージイベント第4弾は「夫婦ペア碁対決!〜新たな挑戦者〜」。鈴木歩七段・林漢傑八段ペアと万波奈穂四段・伊田篤史九段ペアが対決。
中盤で鈴木七段・林八段ペアがリードするも、万波四段・伊田九段ペアがジリジリと追い上げて細かい勝負へ。最後は鈴木七段・林八段ペアが逃げ切り、半目勝ちを収めた。本局のハイライトを見ていこう。
ハイライト図1「奇想天外の展開」
黒番は鈴木歩七段・林漢傑八段。初手に天元、2手目にツケで互いに切り違う変化へ。序盤早々に戦いの火蓋が切られた。
ハイライト図2「守りの好手」
黒1が右辺の白3子へ迫りながら、aの逃げ出しを見た好手。白2と抵抗されても、黒3で有利な攻防となり黒ペースとなった。
ハイライト図3「ヨセ勝負へ」
黒1と手堅く取った瞬間、白2が左辺方面を補強しながらヨセる好点。黒3から5と地を稼がれても、白6の切りも大きく、黒が細かいながらも僅かに良い。
〈浴衣囲碁まつり2024・夫婦ペア碁対決!〜新たな挑戦者〜〉
黒 鈴木歩七段・林漢傑八段 白 万波奈穂四段・伊田篤史九段
285手完、黒半目勝ち
※棋譜再生はこちら
期待の若手、酒井優勝
ステージイベント第5弾は「令和三羽烏に挑め!俊英トーナメント~準決勝~」。準決勝に勝利した酒井五段が許九段に挑む大一番。
中央のコウ争いの攻防から、許九段がリードを奪い、ゴールに一直線と思われた後半戦。間隙を突いた酒井五段が、難解な読み合いで精度の高い打ち回しを見せて逆転した。本局をハイライトで振り返っていく。
ハイライト図1「焦点の空中戦」
黒番は許九段。黒1以下と中央へ進出した局面。どこまで中央の白地を削れるかが勝負所となった。
ハイライト図2「難解なコウ争い」
黒1、3で中央のダメヅマリを見たコウ争いへ発展。結果的には、許九段がコウをうまく活用し優勢を築く結果に。
ハイライト図3「急転直下」
黒1から5と頑張ったものの、白6以下と中央の黒の手数が短く、黒窮している。一瞬の隙を突いた酒井五段が逆転勝利を掴んだ。
〈浴衣囲碁まつり2024・令和三羽烏に挑め!俊英トーナメント~決勝~〉
黒 許家元九段 白 酒井佑規五段
180手完、白中押し勝ち
※棋譜再生はこちら
最後に
企画・運営に尽力した星合志保四段と木部夏生三段は、閉会式で「またこのようなイベントを開催したい」と語った。
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