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一力、読み比べで辛勝【第79期本因坊戦五番勝負第2局・棋譜解説】

 5月23日に「第79期本因坊戦五番勝負」(主催・毎日新聞社)の第2局が、長野県高山村「藤井荘」で行われた。序盤から中盤で一力遼本因坊が好調な打ち回しを見せるも、後半戦で余正麒八段の強打から勝負は振り出しに。一進一退の攻防が続く中、一力本因坊が機敏な守りを見せて、2勝目を掴んだ。

第79期本因坊戦五番勝負第2局
黒 一力遼本因坊 白 余正麒八段
結果:219手完、黒中押し勝ち
持ち時間:各3時間、5分前より秒読み
主催:毎日新聞社ほか
特別協賛:大和証券グループ
地元主催:第79期本因坊戦第2局高山村実行委員会
地元共催:高山村
協力:緑霞山宿「藤井荘」
後援:須坂新聞社、(株)Goolight
協力団体:日本棋院長野県本部
立会:高尾紳路九段
新聞解説:横塚力七段
大盤解説:林漢傑八段、木部夏生三段
記録:大西研也六段、三浦太郎三段
幽玄の間解説:孫喆七段

【対戦成績】
第1局:一力本因坊、白中押し勝ち
第2局:一力本因坊、黒中押し勝ち
第3局:5月30日、三重県鳥羽市「戸田家
第4局:6月6日、神奈川県箱根町「ホテル花月園
第5局:6月18日、大阪府守口市「ホテルアゴーラ大阪守口
※YouTube中継はこちら
※棋譜再生はこちら

対局会場「藤井荘」の玄関

第1譜(1―29)「意外な打ち込み」

 黒7、9と受けるのが、一力本因坊が研究している打ち方。白24から28と左上の形を決めた後、黒29の打ち込みは意外な一手。理由はAやBと荒らす手段があるので、すぐに向かう必要がないからだ。

参考図1(通常の感覚)

 上辺には大きな白地ができづらいため、黒1など大場へ走るのが無難。白2と左辺を割るなら、黒3と補強しながら、aなどの反撃を見て互角に近い進行。

一力本因坊が序盤から中盤で有利な局面を築いた

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