見出し画像

山下、半目逃げ切る【第72回NHK杯】

 山下敬吾九段(46)は27年連続27回目、福岡航太朗五段(18)は3年連続3回目の出場。山下はNHK杯仕様の意欲的な立ち上がりを見せる。福岡は真正面から受けて立ち、序盤から激戦を展開。中盤の競り合いで、山下が抜け出す。ヨセに入り、福岡が猛然と追い込むが、あと一歩届かなかった。解説は松本武久八段。


〈第72回NHK杯2回戦・第7局〉
黒 山下敬吾九段 白 福岡航太朗五段

山下(左)と福岡

※最終譜のあとに棋譜再生機能があります。

〈第1譜〉1―30

 令和三羽烏を追う若手として、嘱望される福岡。松本八段も「すごく読める上に、形勢判断の力も素晴らしい。無双する実力は十分あります」と期待する。一方の山下は、言わずと知れた平成四天王の一角。「相変わらず力強い。最近は早碁を苦にしないイメージです」。
 公式戦初対局。ちなみに、福岡と四天王との対戦成績を見ると、中部総本部所属の羽根直樹九段とは対局なし。高尾紳路九段に2勝、張栩九段とは4勝1敗となっている。
 立ち上がり、黒1、3、5が今回の山下流。特に黒5の天元横が珍しい。いかにAI(人工知能)流の研究が進んでも、事前の対策は無理であろう。
 以降、白16までは穏やかな進行。黒17の肩突きから局面は動き始める。白18から黒21までは定型の一つ。白22のワリ込みから白28、30と切りノビ、競り合いに入る。白22では1図、1のツケも有力だった。「白7、黒8を交換して、白9のハネ出しが厳しい。黒が最強に抵抗すると、白7が効いて、黒の取られ。なので、黒はどこかで変化するのですが、その場所が難しい」。

1図

ここから先は

2,085字 / 25画像
この記事のみ ¥ 220

よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!