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生き残った戦法は昔の方が多い?古碁の魅力と可能性【大橋拓文七段インタビュー】

 今回は古碁の魅力や特徴について、大橋拓文七段にインタビューをお願いした。「僕らが多分、人生で一番勉強していた20~30年前が、一番進歩していなかったかもしれません」と衝撃の事実を語られた。歴代の棋士の偉大さや、古碁から見える現代碁の異様さなど、話題盛りだくさんでお届けします。

「今でも古碁の価値は色褪せない」と大橋七段。様々な角度から語って頂いた

大橋拓文七段のプロフィール
 昭和59年(1984年)5月25日生。東京都出身。故・菊池康郎氏(緑星囲碁学園)に師事。平成14年入段、令和3年七段。日本棋院東京本院所属。

【主要な実績】
2002年:第12期竜星戦本戦入り
2003年:第13期竜星戦本戦入り
2004年:第1回中野杯U20選手権準優勝(非公式戦)
2005年:第30期新人王戦本戦入り
2006年:第31期新人王戦本戦入り
2008年:第33期新人王戦本戦入り
2009年:第34期新人王戦本戦入り、第19期竜星戦本戦入り
2010年:第35期新人王戦本戦入り、第20期竜星戦本戦入り、第1回おかげ杯準優勝(非公式戦)
2011年:第36期新人王戦本戦入り、第21期竜星戦本戦入り、第6回広島アルミ杯・若鯉戦本戦入り
2012年:第22期竜星戦本戦入り
2013年:第23期竜星戦本戦入り
2014年:第24期竜星戦決勝トーナメント進出
2015年:第10回広島アルミ杯・若鯉戦本戦入り
2016年:第25期竜星戦本戦入り、第41期棋聖戦Cリーグ、第26期竜星戦本戦入り
2018年:第28期竜星戦決勝トーナメント進出
2020年:第29期竜星戦本戦入り、大和ハウス杯第59期十段戦本戦入り、第3回SGW杯中庸戦本戦入り
2021年:第46期棋聖戦Cリーグ、第4回SGW杯中庸戦本戦入り
2023年:第49期天元戦本戦入り、第48期棋聖戦Cリーグ


秀策の卓越した勝負術

本因坊秀策

 ――一力遼棋聖が道策を尊敬していると話していました。『300年前の棋譜が今でも勉強になる。自分の碁は300年後に並べられる自信がない』と。
 「僕も道策ファンなので嬉しいですね。個人的には3年前に寺山くん(怜七段)と古碁の本を出して、その時に秀策と秀和をAIで調べました」

 ――まず、秀策の印象を教えてください。
 「秀策は細かい形勢での後半戦が強い。例えば、耳赤の局では百戦錬磨の幻庵に、ジゴか1目差で踏ん張り、最終的に勝ちました。AIでグラフ化すると、後半戦で勝率50%前後の均衡状態を、幻庵が抜き切れないことを表しており、秀策の勝負術が高いレベルであることを物語っていました」

 ――有名な秀策流と呼ばれる打ち方もあり、序盤の打ち方に定評がある印象が強かったのですが。
 「序盤は品行方正に打ち進めているのは事実。ただ、形が良いとよく言われていたのが、実は若干ぬるかったのかもしれません。むしろ、形や筋などのセオリーが通じない、中盤のドロドロとした戦いこそ、秀策の強さが発揮されます

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