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【現代碁の最前線】星の広いハサミへの上ツケ強襲作戦【上野梨紗女流棋聖①】

 今回は星の広いハサミの攻防で現れる「上ツケの強襲策」を上野梨紗女流棋聖の解説でお送りします。シチョウ関係をうまく活用し、積極的に仕掛ける打ち方。「戦いが得意な方にとって、相性の良い打ち方です」と上野女流棋聖。

積極的に戦う打ち方を紹介する上野女流棋聖

上野梨紗女流棋聖のプロフィール
 平成18年(2006年)6月24日生。東京都出身。藤澤一就八段門下。平成31年入段、令和6年三段。日本棋院東京本院所属。

【主要な実績】
2020年:第24期ドコモ杯女流棋聖戦本戦入り
2021年:第40期女流本因坊戦本戦入り、第6回扇興杯女流最強戦本戦入り、第16回広島アルミ杯・若鯉戦本戦入り
2022年:第41期女流本因坊戦本戦入り、第7回扇興杯女流最強戦本戦入り、第26期ドコモ杯女流棋聖戦本戦入り、第34期博多・カマチ杯女流名人戦リーグ入り、第17回広島アルミ杯・若鯉戦本戦入り
2023年:第48期新人王戦本戦入り、第10期会津中央病院・女流立葵杯ベスト4、第42期女流本因坊戦挑戦者、第8回扇興杯女流最強戦本戦入り、第33期竜星戦本戦入り、第18回広島アルミ杯・若鯉戦本戦入り、第35期女流名人戦博多・カマチ杯リーグ戦入り
2024年:第27期ドコモ杯女流棋聖戦奪取、第11期会津中央病院・女流立葵杯ベスト4、第43期女流本因坊戦挑戦者決定戦進出、第9回扇興杯女流囲碁最強戦ベスト4、第72回NHK杯テレビ囲碁トーナメント出場
2025年:第28期ドコモ杯女流棋聖戦防衛(2連覇)、第36期女流名人戦博多・カマチ杯リーグ戦入り


テーマ図「力勝負へ引き込む戦法」

 白1、3と手堅く収束したい白の意図を崩すのが黒4のツケ。本手法を使う条件は「シチョウ関係が黒良し」であること。この条件さえ満たせば、互角以上の戦いを期待できます。

1図(シチョウ関係)

 白1から5のシチョウを確認することが必須。現局面では、黒6に白aのシチョウが成立しないため、黒が戦える進行になります。

参考図1(手厚さの重視)

 白1と左下の黒2子を取りにきた時、黒2から6と外側を厚くするのが好判断。白7と左下の黒を飲み込まれる代わりに、黒8と厚みを得て互角以上のワカレ。

参考図2(取らない理由)

 黒1で下辺の白を取れますが、白2と左辺方面を厚くされて、白の厚みが勝るワカレになります。(白aには黒b以下で攻め合いは黒勝ち)

参考図3(根拠の確保)

 白1、3と受けられても、黒4と下辺の安全を確かめられるので黒成功。白aは黒bと反撃するのが厳しく、白の次の一手が悩ましいところ。

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