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蘇、ヨセで突き放す【第72回NHK杯】

 蘇耀国九段(44)は13年連続22回目、沼舘沙輝哉七段(31)は3年連続4回目の出場。ベテラン対中堅の一戦は、蘇が序盤から奔放な打ち回しを見せる。沼舘は冷静に対応し、互角の戦いが続くが、ヨセに入って失速。蘇が差を広げて、快勝した。解説は寺山怜六段。


〈第72回NHK杯1回戦・第7局〉
黒 蘇耀国九段 白 沼舘沙輝哉七段

蘇(左)と沼舘

※最終譜のあとに棋譜再生機能があります。

〈第1譜〉1―27

 対戦は1局(名人戦予選A、2018年7月)あり、沼舘が制している。「蘇さんは基本的に地にからく、シノギもうまい。沼舘さんは天才肌の碁。勝ち味(かちみ)に早く(形勢がいいときに、最善でなくても勝利できるコースが分かる)、形勢判断が明るい。似たタイプの対戦です」と寺山六段。
 先番を引き当てた蘇が早速やってくれる。初手、高目がまず見ない。さらに、3手目に大高目である。「AI(人工知能)流全盛の時代に本当に珍しい」と寺山六段は驚く。沼舘は即座に、白4と星の位置へのカカリ? で対応する。「この位置に入るのが、大高目に対する、AIの答のようです」(寺山六段)。
 黒5に対する白6、8の受けも重要。「白6で1図、1と出るのは甘い。実戦が正着です」。
 黒17まで、蘇は左辺を大きく広げる。沼舘は地を稼ぎ、保守本流の構えである。
 白20と割り、左辺で競り合いが始まりそうな気配。黒21は当然のツメ、攻めを狙う。白24の軽い逃げに、黒27とボウシにかぶせ、中盤戦のゴングが鳴る。

1図

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