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【現代碁の最前線】小目の一間ジマリへのツケ手法【許家元九段②】

「主な勉強方法はAIでの布石研究。持ち時間温存と局面を判断する材料を増やすため」と許九段

 前回に続き、「小目の一間ジマリへのツケ手法」を許家元九段の解説でお送りします。今回の内容は、配石次第で打ち方や評価が大きく変わるものがあるので、事前に研究しておけばライバルに差をつけられるはずです。

※前回の記事はこちら


テーマ図「ツケ手法の上ハネ」

 黒1の上ハネは実戦でよく打たれる受け方。白はどのように対応すべきか、定石手順に加え、定石後の狙いもしっかり把握しておきたいところ。

1図(まずい受け方)

 白1と受けるのは、黒2から4と右辺の模様拡大を図りながら、下辺の白を攻める狙いも見られて白不満です。

2図(実利に軍配)

 そこで、白1と右下の黒に働きかけます。先に黒2とアテられた場合、白3以下と右下隅に食い込むと同時に、白aの利きが残るので白成功。

3図(大きな分岐点)

 以上より、黒1から3と下辺の白に働きかけるのが一本道の進行。白はaとbの選択肢があり、どちらの変化を選ぶかで大きな差が生じます。

aの変化図1(コウの評価)

 まずはaの変化です。白1、3と右下へ進出する場合、黒4と下辺方面の進出を止められます。白5以下で大場へ先着した後、右下のコウをどう評価するかが焦点。例えば、白のコウ材が多ければ、白aが厳しい狙いになります。

aの変化図2(抜きの対策)

 黒1の抜きには、白2と大場に走る要領。「白aと受けるのは、黒bから右下の白を小さく生かされて白不満です」と許九段。

 部分的には黒3、5とコウ争いをせず、無条件で取りにいける形。一見すると、右下の白が危うく見えますが――、

黒15(12)

 白6と受けて問題ありません。当然、黒7と眼を奪われますが、白8以下と右辺に転身して白十分な戦果です。

bの変化図1(穏やかなワカレ)

 次にbの変化です。白1のツギで守るなら、黒2以下で実利と厚みのワカレに収束します。ただし、配石の違いで黒の対応が変わるので要注意です。

bの変化図2(景色が変わる)

 左下に黒石がある場合、黒1と下辺の進出を止められます。白2から6と下辺を補強しながら大場に先着できても、黒a以下の狙いが残るため、互角に近いワカレです。

bの変化図3(手抜きづらい理由)

 右下に手を入れず、黒1など好点を占められた場合、タイミングを見て、白2から6の出切りを狙えます。白aが利くため、白有利な戦いです。


参考図1(消しの好点)

 最後に他の変化も紹介します。まずは黒1のサガリは白2など大場を占めます。黒3から5と模様を築かれても、白6と簡単に消せるのが白の利点。

参考図2(連打の弱点)

 かと言って、黒1と右下の白を叩いても、白2と右辺の模様拡大を防げるので白悪くない展開。後に、白aやbを狙えるのが白の自慢です。

参考図3(有力な後続手段)

 白1など下辺に白石がある場合、白3と押さえ込むのが有力。黒4には白5以下と模様を広げて白好調です。

参考図4(上ノビの短所)

 黒1と受けられても、白2以下と下辺を占めて白不満なし。ただし、配石が異なると評価が大きく変わります。

参考図5(攻めの手段)

 左下に黒石がいる場合、黒1から3と右下の白を攻める打ち方もあります。本図は互角に近い戦いです。

【次回予告】上野愛咲美女流名人登場!

 次は上野愛咲美女流名人の解説で流行形を紹介します。有名な形をシンプルに使うコツを解説して頂きましたので、お楽しみに!!

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