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夢と現実の葛藤、それでも前向きに【洪清泉特別インタビュー・中編】

 今回は洪道場の育成を中心にお送りします。師範の洪清泉四段は「囲碁の技術も教えますが、人間として大切な哲学的なものにも多くの時間を割いています」と語りました。自分が育てた子供達に、自分と同じ『失敗と苦労』をさせない熱い思いなど、余すことなく執筆させて頂きました。


人生が詰んだ瞬間

平成30年に洪道場生の棋士の合計段位で50段を突破

 ――平成30年で50段達成、令和6年で97段(見込み)と一気に段数が上がりました。有望な棋士を育てる時、大事にしていることを教えてください。
 「私自身で失敗したことが多いので、教え子には同じ失敗をさせないようにいろいろなことを伝えます。例えば、私の父が棋士になってほしい思いが強く、私は小学校しか通っていません(午前授業のみ)。そうした形にする理由の1つは韓国の兵役です。当時、中学校を卒業していない場合(今はその制度が廃止されています)、免除されます。韓国の李世乭九段などもその恩恵を受けています。それで棋士になれば良いのですが、なれなかった場合、人生が詰みます」

 ――韓国では学歴が重視される社会ですからね。
 「15歳(日本の中学3年生)の時、韓国の院生をやめて『人生が詰んだことを理解しました』。これは取り返しがつかないと。私の場合、囲碁の技術はアマトップクラスということがわかり、試合に出て結果を出した訳ですが、苦しい生活であることは変わりません。そうした経験もあり、子供達には棋士を目指す意味を隠さず全て話します。私の教え子には、どういった現実が待っているか、知ってほしいからです」

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