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仙台第二3連覇! 白百合学園V【第48回高校選手権全国大会・団体戦】

 第48回文部科学大臣杯全国高等学校囲碁選手権の全国大会が7月22日から24日の3日間、日本棋院東京本院で開催された。
 団体戦と個人戦があり、団体戦は22日と23日午前に行われ、男子50校、女子46校が熱戦を繰り広げた。男子は宮城県仙台第二(宮城)が3連覇を達成。女子は白百合学園(東京)が7大会ぶりの優勝を果たした。
(記・光井一矢)

男子の部を制した仙台第二
女子の部を制した白百合学園

第48回文部科学大臣杯全国高等学校囲碁選手権大会
主催:日本棋院、全国高等学校囲碁連盟、高等学校文化連盟全国囲碁専門部
後援:文部科学省
協賛:株式会社ブルボン、ウシヤマ電機株式会社、囲碁将棋チャンネル

 8組に分かれて1次リーグ3回戦を行い、1位が枠抜け、そこから先はトーナメント戦で争う。
 団体戦は一チーム3名編成。中には団体戦に出場するために3人目に囲碁を教えてメンバーを揃えているところもあり、19路での対局数はまだ1桁というメンバーが勝ち、喜びの表情を見せているチームも見られた。

男子の部

 男子は仙台第二と、昨年個人優勝の小島二十さんが率いる大分東明(大分)が決勝に進出した。
 仙台第二は選手のバランスが毎年良く、誰かが負けても他の誰かが補うというチームワークの良さで勝ち上がってきた。準決勝では前評判の高かった駒場東邦(東京)と対戦。駒場東邦もバランスのとれたチーム。主将、副将戦は1―1となり、三将戦で駒場東邦の時間が切れ、仙台第二が勝利した。
 大分東明は、主将の二十さんと副将の小島十二さんが小学生の頃から全国大会で活躍する兄弟で、まだ2桁級のメンバーを加えて主将、副将の2人で勝ち進んでいった。準決勝の広島学院(広島)戦も2―1で制した。

 決勝主将戦の模様を審判の白石勇一七段の解説でお届けする。

決勝戦。左は仙台第二。手前から順に主将戦、副将戦、三将戦
左は大分東明

〈第48回高校選手権男子団体戦・決勝主将戦〉
黒 千葉和真 白 小島二十(大分東明)
173手・以下略、黒10目半勝ち

棋譜再生はこちら

〈総譜〉1―173

白112(101)

 白48のノゾキから戦いが始まった。白64に対する黒65のワリ込みが読みの入った強手で、黒77まで黒のペース。白も右辺に78と打ち込み、白84、86のツケフクラミから88のアテが好手。黒89でAに取ってしまうと、白89のアテから白91と出る手が発生してしまう。
 黒99から中央で戦いが始まった。白106で109と出れば穏やかであるが、中央が大きいと判断し頑張った。黒も戦いを仕掛けた以上は黒117で122と打って頑張りたいが、誤算があったのか白126と黒を制しては白優勢。
 しかし、黒131のアテに対し白132とツイだため、黒133から135と左辺の白が切り離されてしまった。白132で134と下からアテてていれば、ヨセ勝負ながら白が打ちやすい。また、白136では白145と置いて154のワタリと動き出しを見合いにするなどしていればまだ白が打ちやすかった。実戦白136から黒147まで動いて全部取られては黒勝勢。

 1勝1敗となり、残った主将戦を制した仙台第二が3連覇を果たした。
 主将の千葉和真さんは、「決勝で自分が勝って優勝できて良かった。まだ3連覇の実感はないが、ほっとしている」と語り、メンバー揃って「それぞれが助け合えた。チームに感謝したい」とお互いに讃え合った。
 仙台第二は先輩から後輩へ指導をしたり絆が強い。主将の千葉さんと副将の二階堂史晟さんは卒業するが、三将の永澤周侍さんは2年生。先輩たちの想いを受け継いでいく。

女子の部

 女子は前回4位の須坂(長野)や上位常連校が勝ち上がる中、初の全国出場を果たした甲府南(山梨)が決勝トーナメントに進出。準決勝では15大会連続出場の強豪、彦根東(滋賀)を破り決勝進出となった。
 もう一方の山は、白百合学園と昨年準優勝だった南山(愛知)の準決勝となり、ここまで全て3-0で勝ち上がってきた南山を白百合学園が2-1で破り決勝進出となった。

 女子の決勝主将戦も白石七段の解説でお届けする。

〈第48回高校選手権女子団体戦・決勝主将戦〉
黒 上野彩香(甲府南) 白 増渕可那子(白百合学園)
176手・以下略、白6目半勝ち

棋譜再生はこちら

〈総譜〉1―176

 積極的な黒と慎重な白という展開。中央はお互いに工夫した打ち方。白60は160に打ち込むのが良い。右辺がまとまっては黒リード。黒89は白90にコスまれて持ち込み。
 戦いらしい戦いがおきず黒リードのまま黙々とヨセが進むが、黒141が失着。150に打って黒優勢だった。白150に石が来て中央の黒が薄くなった。黒157と備え、白164まで右辺が破れては逆転。

甲府南(左)と白百合学園の決勝戦。1勝1敗となり、主将戦を見守る
白百合が優勝

 白百合学園は決勝まで副将と三将が全勝。主将戦を残し1-1でメンバーに見守られる中、主将戦を制して白百合学園が優勝となった。
 主将の増渕可那子さんは「決勝トーナメントでは負けていたので最後に勝てて良かった。来年も優勝して2連覇します」と語った。副将の奥花珠さんは、7年前の白百合学園優勝時のメンバーに姉の真珠さんがおり、「7年前の姉の優勝を見て憧れていた。姉と同じ結果になって嬉しい」と語った。主将、副将が2年生で三将の1年生、早川天音さんは先輩を慕っており、仲の良さが勝因となった。

男子ベスト8で記念撮影。前列左から2、1、3位。後列左から4、5、6、7、8位

【男子の部入賞】
①宮城県仙台第二高等学校(宮城)
②大分東明高等学校   (大分)
③駒場東邦高等学校   (東京)
④広島学院高等学校   (広島)
⑤慶應義塾高等学校   (神奈川)
⑥秋田県立秋田高等学校 (秋田)
⑦灘高等学校      (兵庫)
⑧開成高等学校     (東京)

女子ベスト8で記念撮影。前列左から2、1、3位。後列左から4、5、6、7、8位

【女子の部入賞】
①白百合学園高等学校  (東京)
②山梨県立甲府南高等学校(山梨)
③南山高等学校女子部  (愛知)
④滋賀県立彦根東高等学校(滋賀)
⑤鷗友学園女子高等学校 (東京)
⑥岐阜県立岐阜高等学校 (岐阜)
⑦須坂高等学校     (長野)
⑧神戸女学院高等学部  (兵庫)

※全選手の成績など大会の詳細はこちら

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