藤沢が隙のない石運びで優勝飾る【女流囲碁アマノ杯青龍戦】
12月7日に「女流囲碁アマノ杯青龍戦」(協賛・アマノ株式会社)が神奈川県横浜市「三渓園鶴翔閣」で行われた。本棋戦は4名の女流棋士による早碁のトーナメント戦。決勝で藤沢里菜女流本因坊が上野愛咲美女流立葵杯に勝利し、優勝の栄冠を掴んだ。
【1回戦の結果】※左側が勝者
藤沢里菜女流本因坊―上野梨紗女流棋聖:棋譜
上野愛咲美女流立葵杯―謝依旻七段:棋譜
【決勝戦の結果】
藤沢里菜女流本因坊―上野愛咲美女流立葵杯:棋譜
藤沢女流本因坊のコメント
――本棋戦の感想をお願いします。
「この棋戦が始まる前から、着物のPVの撮影がありましたが、とてもスケールが大きく、すごい方々に格好よく撮って頂いて光栄に思っています。参加することを本当に楽しみにしていましたし、優勝できて嬉しく思っています。今後も一日一日、感謝を忘れずに頑張っていきたい」
――賞金はどのように使われますか?
「愛犬のグッズなどよく壊されちゃうので、いっぱい買えたらいいなと思っています」
――対局中は着物の袖など気になりませんでしたか?
「意外と大丈夫でした。碁盤の端の方を打つ時は袖を持つ時はありましたが、それ以外では全く問題ありません。着物は苦しいかなと思っていましたが打っている内に慣れてきました」
――持ち時間の長い碁は大変だと思いますが、早碁では和服で対局するのはアリでしょうか?
「タイトル戦では和室で対局することが多いので、着物がよく合うと思うので良いと思います」
小松江里子さん「囲碁は物語」
本棋戦の観戦記やエッセイを執筆する、脚本家の小松江里子さんにインタビューをお願いした。小松さんの代表作は大河ドラマ「天地人」「花燃ゆ」、映画「利休に尋ねよ」「海難1890」「天外者」など。(観戦記はアマノ杯公式と藤澤一就一門後援会のHPで公開される予定)
――囲碁はいつ頃覚えましたか?
「今年の2月に覚えました。藤澤一就先生の門下生の方々にご指導して頂いています。短期集中で少しやって、また間を空けてといった流れで繰り返し精進しています」
――囲碁を打つと脚本を書くのは、どのような違いがありますか?
「脳が違う動きをしているのがわかるんです。私は物語を書いたり、そういった方面の脳は使っていますが、囲碁の場合、違う脳が動き出した感覚があって、脳はいくつになっても進化すると思いましたね。子供の知育だけでなくて、そうではない方々にもオススメです」
――今回、本木克弥九段に教わりながら、決勝戦を見られておりましたが、いかがでしたか?
「スタートラインが全然違うじゃないですか。新しいこと、知らないことを勉強するっていいですよね。初心に戻るんですよ。全ての事柄で周りの方が先輩になり、人生が違う角度で広がっていきます」
――小松さんにとって囲碁の魅力は何か、教えてください。
「私にとって、囲碁は物語なんですよ。物語には、登場人物がどういう立ち位置にあり、ストーリーには伏線がありますよね。囲碁も序盤から中盤にかけて活きていく石があり、リンクするものがあるんです。定石などの形を知って崩していく面白さ、伏線を仕込んでいくやり方など、仕事の方でも勉強になりました」
――最後に、囲碁との出会いはいかがでしたか?
「これからも関わっていきたいという思いもありますし、ある程度の歳でこういった出会いがあって本当に良かったと思っています」
決勝戦
黒番は藤沢女流本因坊、白番は上野女流立葵杯。序盤から藤沢がペースを掴むも、後半で上野が追い上げ、徐々に差が縮まっていく。しかし、藤沢は逆転を許さない堅実な打ち回しを見せて、黒1目半勝ちを収めた。
第1譜(1―31)「反発の応酬」
白6の大ゲイマ受けは上野の得意戦法。黒7には白8以下と現代のナダレ定石で形が決まっていく。序盤の焦点は「白28に黒29以下と下辺の白へ迫った局面」。白はどのように対処するかがポイントとなった。
参考図1(力戦模様の進行)
黒31で1と受ける進行も想定された。白2で互いに弱い石を抱える腕力勝負の展開となる。
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