【早稲田大学】小長井克八段の「囲碁入門講座」
このコラムは学校囲碁普及の活動を取材しタイトルの通りミライが育つ現場を紹介するもの。
1回目は早稲田大学。小長井克八段の授業「囲碁入門講座」を紹介する。
2015年の開始から黒瀧正憲八段が担当していたが、2020年小長井八段にバトンタッチして現在に至る。今期の受講者数は30名で、授業は1日2コマ(1コマ100分)で7週全14コマの日程で囲碁のルールを学んでいく。
授業の内容は学生同士での実戦対局や、講師の小長井八段がパソコンを使って演習問題や棋譜の解説を行っていく。
学生たちからは高度な布石に関する質問が出るなど意欲的な様子がうかがえ、対局時は真剣な面持ちで盤に向かっているのが印象的であった。
小長井八段に授業についていくつかお話を伺った。
・早稲田大学の学生や授業の印象を教えてください。
とても優秀。特に集中力が高いように感じます。囲碁に夢中になった学生も多くいて、そのうちの一人は、授業時間以外にネット対局「幽玄の間」や囲碁クエストなどで1600局以上も対局したと言っていました。授業中、楽しそうに対局している様子を見ると、私も嬉しくなります。
・小長井八段の授業では、囲碁のソフト等で学生が打った棋譜を送ってもらい、授業で解説をしていました。こちらはどういった意図がありますか。
学生には宿題と棋譜を提出してもらっていますが、これは学生が授業内容をどの程度理解しているかを把握するためです。そして理解が不十分なところは、次の授業で解説するようにしています。
一緒に学んでいる学生の打った碁は、興味を持って解説を聞けるので、学習効果が高いのではないかと思っています。
・他の囲碁教室と学生向けの囲碁授業の違いはありますか。
普段の囲碁教室との違いは、宿題、棋譜を提出してもらうことと、成績をつけること、それとPCを使って講義をすることです。講義に囲碁ソフトを使うことで、無駄な時間(シチョウ、整地、終局などの解説で石を並べ、片付ける時間)がなくなり授業内容が濃くなります。現在、一般の囲碁教室でPCを使っているところはまだ少ないですが、今後は標準になっていくでしょう。
・最後に今後の抱負などを教えてください。
囲碁からは、人生を歩んでいく際に役立つ多くのことを学べるのは周知のことです。しかしこれまで教育の現場には「琴棋書画」の「棋」だけがありませんでした。2005年から大学で囲碁が単位の取れる科目として取り入れられ始めたことは、すばらしいことで、覚えた学生にとっては、一生を通しての大きな財産になることと思います。また囲碁は世界中に普及されているので、グローバル社会を生きていく若い人にとっては、交友関係を広げるツールにもなりうるでしょう。これからも「私の趣味は囲碁です」と言ってもらえる学生が一人でも増えるよう、囲碁の魅力を伝え続けていきたいです。
※「ミライを育てる」は『週刊碁』で7回にわたり掲載したコーナーを再開したものです。
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