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井山4連覇達成!タイトル獲得数が歴代1位へ【第72期王座戦五番勝負第4局】

 12月6日に「第72期王座戦五番勝負」(主催・日本経済新聞社)の第4局が神奈川県秦野市「陣屋」で行われ、井山裕太王座が芝野虎丸九段に勝利し、4連覇(通算10期)を達成。タイトル獲得数は77となり、歴代1位となった。また、通算10期を獲得したことにより、名誉王座の称号を得た。

【歴代のタイトル獲得数】※()内はタイトル数
1位:井山裕太王座(77)
2位:趙治勲名誉名人(76)
3位:二十三世本因坊坂田栄寿(64)
4位:小林光一名誉棋聖(60)
5位:大竹英雄名誉碁聖(48)

第72期王座戦五番勝負第4局の概要
黒 井山裕太王座 白 芝野虎丸九段
結果:193手完、黒中押し勝ち
消費時間:黒2時間59分 白2時間58分
主催:日本経済新聞社
賞金:1400万円
立会:張栩九段
記録:伊藤優詩五段竹下奈那初段
新聞解説:許家元九段
ネット解説:林漢傑八段
※YouTube配信はこちら


井山王座インタビュー

「積み重ねた結果で記録を達成できて嬉しい」と井山王座

 ――王座戦防衛、おめでとうございます。通算10期で名誉王座の称号を得て、かつタイトル獲得数77で歴代1位となりました。
 「(2019年第67期王座戦で)5連覇に届かなかった、名誉王座はかなり難しくなったと思っていましたが、一つ一つ積み重ねて通算10期達成できたことは自分にとって大きな意味を持ちますし、タイトル数についても自分なりに長くやれた結果が、こうした形となって非常に嬉しく思います」

 ――今回、名誉五冠となりました。今後、名誉七冠が期待されますが、いかがですか?
 「本当に1つ勝つのも大変な状況ですので、現実的には中々考えられないですが、少しでも近づけるように自分なりに精進したい」

対局後の記者会見風景

 ――タイトル獲得数で趙治勲名誉名人の記録を超えました。ご自身はどのように受け止めていますか?
 「趙先生の記録はあまりに偉大で、自分が到達できるとは考えられなかったですし、タイトルの数も当時と今では異なりますから、一概に比べられない。ただ、記録として辿り着けたのは非常に嬉しく思います」

 ――プロ入りされて22年経ちました。タイトル数77個は早かったのか、もう少し時間がかかると考えておられたのか、教えてください。
 「こうした記録を意識したのはかなり最近のこと。それまでは一つ一つ精一杯やってきたというのが正直なところ。出来過ぎだと思います」

 ――今年は3冠を堅持されました。来年は棋聖戦も戦われます。次なる目標は何か教えてください。
 「自分なりにベストを尽くすことは変わらないので、少しでも自分の自力をつけていたらと思います」

陣屋の中庭

趙治勲名誉名人のコメント
 井山さんに僕の記録を追い越されるたび原稿を頼まれます。腹が立つやら、怒りで胸は張り裂けそうです。この怒り、原稿用紙のマス目に埋めてやる!
 瞑想三日三晩。不思議なことに怒りより感謝しか思い浮かびません。井山さんに並ばれ、追いつかれ、背中を見られるのは趙治勲碁打ち冥利に尽きます。井山さんいつまでも美しく、強く、輝いて、俺たち碁打ちに感動と驚きをください。これですべての記録を破られたので最後の言葉になりました。
 遙か彼方に行ってしまった井山裕太さんの背中にありがとう。


第1譜(1―27)「急戦へ突入」

 黒11の一間バサミに、白12から22と切断して戦端が開かれた。黒23と受けざるを得ず、白24以下で互いに我が道をいく展開に。白Aは黒Bで収拾つかない姿となるため、白の受け方が悩ましいところ。

参考図1(狙いが残る)

 白22で1と手堅く守るのは、配石次第でaの好点やbの狙いを見られるため、白不満が残る展開に。

局後の感想戦風景

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