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【現代碁の最前線】小目の一間高バサミの難解形解析【大橋拓文七段②】

 前回に続き、小目の一間高バサミ定石で現れる「ケイマガケの難解形」を大橋拓文七段の解説でお送りします。「改めて研究して、いろいろな発見がありました」と大橋七段。大胆な捨て石や際どいコウ争い、そして明るすぎる好判断など、巧みな技が凝縮された現代定石の神髄をご覧ください。

「現代定石は怖いですね」と語った大橋七段

大橋七段インタビュー
 ――2016年にAlphaGoと李世乭九段戦で囲碁AIが注目されて、8年が経過しました。今の戦法はどのようになっているのでしょうか?
 「例えば、小目のシマリの種類で言えば、AlphaGoが登場した当時、二間ジマリや大ゲイマジマリなど広く構えるのが流行しました。ただ、今ではケイマジマリや一間ジマリが復活しています」

 ――確かに、小目から狭く構えるのは効率が悪いと見られていた時期もありましたね。
 「プラグラマーから『戦術は循環する』という話を聞いたことがあります。囲碁でも同じ現象が起きています。もちろん、新しい打ち方や発想がたくさん生まれましたが、これから昔の戦術が再評価されたり、注目されるかもしれません」


テーマ図「ケイマガケの積極策」

 白1は右下の黒に働きかける積極策。序盤から激しい戦いになりやすく、研究量の差がハッキリ現れる現代定石の1つと言えます。

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