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囲碁で脳を活性化しよう【医師による講演・棋士による囲碁体験会】

武蔵野市主催で開催

 「囲碁は知的な刺激が極めて強い活動。認知機能低下の抑制に有効です」と語るのは、医学博士で、囲碁愛好家の顔も持つ飯塚あい氏。
 認知症が大きな問題となっている現代社会。東京都武蔵野市はその対策として、囲碁に着目。10月16日、武蔵境駅そばの「武蔵野スイングホール」を会場に、「頭を使って脳を活性化! 囲碁で頭の体操しませんか?」と題したイベントを開催した(日本棋院後援)。
 内容は二部構成。最初は、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所で活躍している飯塚氏による講演会。囲碁に魅せられ、プロを目指したこともある飯塚氏は、最高の講師である。それが終わると、日本棋院棋士の久保秀夫七段にバトンタッチ。参加者に囲碁のルールを軽く説明、そして対局を体験してもらった。


飯塚あい氏

講師紹介 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所において社会参加とヘルシーエイジング研究チーム研究員として活躍。専門は老年医学や公衆衛生学。生涯学習による認知症の予防と共生に関する研究や多世代交流に関する研究に従事。囲碁はプロを志したこともある腕前。

囲碁の素晴らしさを分かりやすく解説

なぜ、頭を使うことがよいのか

 飯塚氏の話は次のように進んでいった。
 まず、いまの社会の状況を分析。少子高齢化により、ミドル・シニア世代の健康増進、社会参加・社会貢献の重要さが増してきていると話した。
 続いて、認知症とは何かを解説。認知症は、以前と比べて明確な認知機能の障害がある、それが生活の自立を障害していることなどが診断基準として挙げられるとのこと。
 では、認知機能低下を抑制するにはどうしたらよいだろう。運動習慣などいろいろあり、知的活動習慣もその一つだと説明した。
 なぜ、知的活動=頭を使うことがよいのか。頭を使えば使うほど、脳のダメージをカバーする力が蓄えられ、認知機能低下の症状の出現が遅くなるという。また、ある神経細胞が死んでしまい、細胞と細胞が分断されても、頭を使えば、生きている神経細胞同士が新しく結ばれるとのことである。
 そして、いよいよ「認知機能低下の抑制に囲碁は有効」と、メインテーマに入っていった。
 知的活動には読書やパズルなどあるが、囲碁には特有の特徴があると強調する。

知的活動の例を説明

囲碁には他のゲームにはない特徴がある!

 まず、囲碁のゲーム性として三つの素晴らしさをあげた。
・選択肢が非常に多く、繰り返し推論することが必要であること。
・盤面全体に及ぼす影響を考え、あらゆる方向に注意を向ける必要があること。碁は部分だけ見ていても、いい手が打てない。全体を見て着手を決めなければならない。
・局面によって異なる認知機能が必要になること。序盤は石数が少なく、空間把握が必要。中盤になると石の接触が増え、推測と注意が必要。終盤は計算力が必要になる。一局の中で、使う機能が変化していく。

 囲碁の入門についても言及する。基本ルールがシンプルなため、すでに認知機能が低下したひとでも覚えるのが可能である。

 最後の解説は、コミュニケーションについて。囲碁は世代を超えて交流できる。例えば、十代と七十代が対局できる。小学校低学年の子どもと、高齢者が一緒に囲碁を学ぶプログラムを実施したところ、こどもの礼儀作法が向上したことが分かったそうだ。年齢だけではない。肩書とか国の違いがあっても、囲碁は交流を可能とする。

 「囲碁が認知症対策に有効なのは、すでに実証されています」と飯塚氏。

すぐに打てる

 囲碁の素晴らしさが分かり、早速、参加者に囲碁を体験してもらった。
 久保七段が説明したのは、黒と白では黒が先に打つこと、一手一手交互に打つこと、碁盤の線と線の交点に打つこと、石の取り方、コウという形があること、以上だ。それだけでも参加者は盤上に石を置いて楽しめていた。

参加者が囲碁体験。久保七段がやさしく手ほどき
囲碁を楽しんでいる参加者を見て、笑顔がこぼれる飯塚氏

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