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日本碁界始動!更なる飛躍に期待【令和七年打ち初め式・東京】

 1月5日、日本棋院東京本院で「打ち初め式」が開催された。タイトル保持者たちによる新年の挨拶や記念対局が華やかに行われ、式典は盛り上がりを見せた。さらに注目を集めたのは、1月27日からヤングマガジンで連載がスタートする囲碁マンガ『伍と碁』の発表だ。監修を務めるのは、井山裕太王座と寺山怜六段という豪華な顔ぶれである。本記事では、その模様を詳しくお届けする。(YouTube中継はこちら


武宮陽光理事長

「次の100年に向けて前進したい」と武宮理事長

 今年は、更なる100年に向けた重要な節目の年となります。昨年、一力遼九段と上野愛咲美五段が世界戦で優勝を果たし、日本碁界復権への第一歩を感じられた方も多いのではないでしょうか。

 さらに、Google DeepMind社のCEOであるデミス・ハサビス氏が日本棋院を訪問し、「アルファ碁なくして、ノーベル化学賞は生まれなかった。囲碁なくして、AIの進化もなかった。囲碁を愛好するすべての方々に感謝したい」とお話しされたことは、大変名誉なことです。この言葉は、囲碁の持つ文化的・科学的価値を改めて世界に示し、囲碁普及の大きな力となると確信しております。

 昨年は、囲碁界に新しい風が吹き始めたと感じさせる、期待に満ちた出来事が多かったように思います。今年は、その新たなる第一歩をさらに力強いものとし、この風を春の嵐のように大きく膨らませていかなくてはならないと考えています。


脚本家・加藤正人

映画『碁盤斬り』の脚本を書かれた加藤さん

 日本棋院は、次の100年に向けた第一歩を踏み出す101年目を迎えることとなります。これからも栄光の歴史を積み重ねていくことでしょうし、必ずそうなると信じております。まずは、この101年目となる今年、昨年に劣らぬ活躍を棋士の皆様にお願いしたいと思っております。

 世界の檜舞台で棋士の皆様が活躍されることは、囲碁ファンにとって何よりの喜びです。昨年は、男女ともに世界の頂点を極める快挙があり、国内棋戦に加えて国際棋戦も大きな楽しみとなりました。我々囲碁ファンは、これからも変わらず棋士の皆様を応援してまいります。その応援に応える形で、昨年以上のご活躍をぜひ実現していただきたいと願っております。どうか、棋士の皆様の素晴らしい碁で、私たち囲碁ファンを今年も感動させてください。


囲碁マンガ『伍と碁』が連載開始!

挫折から前へ前へと進んでいく少年の物語に大注目©︎蓮尾トウト・仲里はるな/講談社

 1月27日より、ヤングマガジンで囲碁マンガ『伍と碁』の連載が開始される。本作は、原作を蓮尾トウトさん、漫画を仲里はるなさんが担当し、監修には井山裕太王座と寺山怜六段という豪華な顔ぶれが名を連ねている。

 作品の内容は、幼少期に囲碁に触れた主人公・秋山恒星が、地元の囲碁教室で出会った五人の少年少女たちと交流し、大きな敗北を経験して挫折するところから始まる。その後、高校生となった恒星が、その五人にリベンジを誓い奮闘する成長物語だ。

 「盤面などの監修を通じて、今の囲碁ファンの方々にも楽しんでいただける作品になっていますし、これから囲碁に興味を持つ方々にも親しんでいただけると思います」と、編集者の森奏太さんは語っている。

ヤングマガジン編集の森さん(右)と監修の寺山六段

 監修を務める寺山怜六段は、「囲碁界にとって非常に良いことだと思いますし、僕自身、早くも作品のファンになっています。魅力的なキャラクターがたくさん登場するので、これからどう展開していくのか非常に楽しみです。ぜひ多くの方に楽しんでいただければと思っています」と、『伍と碁』の魅力について語った。


公開対局「新年から大激戦」

20手毎に交代で行われた本対局は、激しい激戦となった

 公開対局では男子チーム(順番:福岡七段→三浦四段→横塚七段)と女子チーム(順番:藤沢女流本因坊→上野愛咲美女流立葵杯→上野梨紗女流棋聖)で行われた。持ち時間は1手30秒の互先(コミ6目半)で、双方ともに20手を打つと交代する形式で行われた。大盤解説は一力遼棋聖。

ハイライト図1「戦端が開く」

 黒番は福岡七段、白番は藤沢女流本因坊。黒1から3と切断して激しい戦いになった局面。「白aと抵抗する手段はあったかもしれない」と一力棋聖。

参考図1(オイオトシの手筋)

 白1と黒2を交換した後、白3以下と追い詰めるのが狙い。オイオトシで黒4子を取れるので、本図は白成功です。

序盤から珍しい進行で打ち進めた両対局者

ハイライト図2「冷静な受け」

 黒番は三浦四段、白番は上野愛咲美女流立葵杯。白1と混戦模様となる中で、黒2の引きが冷静な一手。aやbと右下の白を切断する狙いを見ながら、cと下辺の白を飲み込む手段を残して、黒悪くない戦いだ。

打ち終えた後、それぞれの対局者が大盤解説で感想を述べている様子

ハイライト図3「シノギ勝負」

 黒番は横塚七段。白番は上野梨紗女流棋聖。白1から3と果敢に上辺の黒へ迫った局面。左下の白は白a以下と抵抗する手段があり、完全には取られていない形。上辺の戦い次第では、白の巻き返しも期待できる混戦模様だ。

大変な局面でバトンを渡された上野梨紗女流棋聖。思わず苦笑いを浮かべる場面も

〈令和七年打ち初め式・連碁〉
黒 福岡航太朗七段、三浦太郎四段、横塚力七段
白 藤沢里菜女流本因坊、上野愛咲美女流立葵杯、上野梨紗女流棋聖
120手完、打ち掛け

白108(97)

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