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一力、第1局は敗れる【第10回応氏杯世界選手権・準決勝三番勝負】

 7月3日に開幕した第10回応氏杯世界選手権本戦。日本勢で唯一出場(予選突破)の一力遼九段は1回戦で劉宇航七段(中国)に黒番中押し勝ち、2回戦では許嘉陽九段(中国)に黒番1目勝ちし、ベスト4に進出した。そして6日、中国上海市から中国浙江省寧波市「隠居慈城庭院公館」へ場所を移し、準決勝三番勝負第1局に臨んだ。

準決勝は日本対中国、中国対中華台北。韓国選手がいないのは、いつ以来だろうか

 相手は柯潔九段(中国)。柯潔は1997年生まれ。2015年に百霊杯で優勝、三星火災杯も優勝、翌16年に夢百合杯を制し、一気に世界三冠を達成した。以後、世界戦で大活躍。三星火災杯では4度頂点に立っている。
 一力は先勝して勢いをつけたかったが、結果は完敗に終わった。
 準決勝もう一局、謝科九段(中国) ―許皓鋐九段(中華台北)戦は謝科が先勝に。
 三番勝負第2局は8日に打たれる。

許皓鋐九段(中華台北・左)と謝科九段(中国)の対局

(写真提供・体育週報)

【準決勝三番勝負第1局】(左が勝者、△は黒番)
柯潔九段(中国) 中押し △一力遼九段(日本) 
謝科九段(中国) 中押し △許皓鋐九段(中華台北)

本戦1回戦の記事はこちら
本戦2回戦の記事はこちら

【棋戦概要】
主催:中国囲棋協会、台北応昌期囲棋教育基金会、上海市応昌期囲棋教育基金会
優勝賞金:40万ドル(約6,400万円)

【対局概要】
<日時(日本時間)>
・1回戦:7月3日(水)、13時~
・2回戦:7月4日(木)、13時~
・準決勝三番勝負:7月6日(土)、8日(月)、9日(火)、11時30分~

<対局場所>
・1・2回戦 中国上海市「応氏大厦」
・凖決勝   中国浙江省寧波市「隠居慈城庭院公館」

<対局方式>
応氏(応昌期)ルール
・コミ8目(日本ルールでは7目半に相当)、ジゴ黒勝ち
・持ち時間
 1・2回戦 / 各2時間、使い切ると20分ずつ2目コミ出し(3回まで)
 準決勝 / 各2時間30分、使い切ると25分ずつ2目コミ出し(3回まで)


初の決勝進出を目指す一力(左)。本局は中盤、柯潔に突き放された

〈第10回応氏杯世界選手権準決勝三番勝負・第1局〉
 一力遼九段(日本) 白 柯傑九段(中国)
144手完、白中押し勝ち
コミ8目(応氏ルール、日本ルールでは7目半に相当)

※棋譜再生(総譜)はこちら

白140(108)黒143(117)

 YouTube「日本棋院囲碁チャンネル」で解説を務めた横塚力七段は以下のように総括した。
 「白90まで、一力さんに疑問手はないと思われますが、やや白がよくなっています。柯潔さんが少しずつポイントをかせいでいるのでしょうか。結果的に黒91で負けにしてしまいました。右上に黒の厚みがあるので、実戦心理としては切りたくなります。しかし、白100となっては、右方黒一団の取りと左方黒二子の取りを見合いにされ、苦しくなりました。黒91では参考図、黒1から5までなら、長期戦だったでしょう。柯潔さんの打ち回しがあまりに見事でした」

参考図
世界一への道のりは平坦ではない。しかし、いまの一力なら乗り越えられるだろう
近年、勢いを失っている柯潔だが、復調しているようだ。強すぎる柯潔が戻ってきた

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