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囲碁雑学 その1【囲碁の別称】

 囲碁はその奥深さと長い歴史から、さまざまな別称が生まれました。
 代表的なものを紹介しましょう。


爛柯(らんか)

 爛はただれる、くさる、柯は斧(おの)の柄(え)のこと。中国の故事が由来です。
 中国・晋の時代、王質という木こりが山に入ると、童子たちが楽しそうに碁を打っていました。王質は傍らによって眺めだします。すると童子からナツメの実のようなものを渡され、「これを食べればお腹がすきません」と言われました。王質は空腹になることなく、碁に夢中になりました。
 童子に「なぜ去らないのですか」と聞かれ、我に返って斧に目を移すと、柄がくさっています。そして山を下り、村に帰ると、知っている人は一人もいません。風景も違っています。いったい、どうしたことでしょう。王質が碁に魅入られている間、村人が死に絶えるほど時間が経っていたのです。
 山の中の童子は神仙だったのかもしれません。

手談(しゅだん)

 手による談話。ことばがなくても、互いに相手の着手から心が分かる、会話ができる意。

烏鷺(うろ)

 烏(からす)の羽根の色は黒、鷺(さぎ)は白ですね。黒石と白石を鳥に例えたもの。

方円(ほうえん)

 方は方形(四角)、円は丸。碁盤と碁石を表しています。

坐隠(ざいん)

 中国の故事から。座したまま(居ながらにして)隠遁(いんとん)できる意。隠遁とは、俗世間から離れて生活すること。
 日本の囲碁の歴史書に『坐隠談叢』(ざいんだんそう)があります。

 他に面白いことばでは、橘中之楽(きっちゅうのたのしみ)があります。橘(たちばな)はミカン類の総称。大きなミカンの実を割ると中で二人の老人が碁を楽しんでいたという中国の故事から。囲碁や将棋をする楽しみのことを表すようになりました。

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