一力、初防衛にマジック1 第3局棋譜解説【第50期天元戦五番勝負】
一力遼天元に芝野虎丸九段が挑戦する「第50期天元戦挑戦手合五番勝負」の第3局(主催・新聞三社連合、西日本新聞社)は両者1勝1敗のあとを受けて11月9日、福岡県久留米市の「久留米シティプラザ」で行われ、222手までで白番の一力が中押し勝ちしてタイトル防衛にあと1勝とした。第4局は11月28日、兵庫県洲本市の「ホテルニューアワジ」で行われる。
本局の立会人は坂口隆三九段、記録係は青木裕孝三段と加藤優希初段、新聞・YouTube「日本棋院囲碁チャンネル」解説は首藤瞬八段、現地大盤解説は円田秀樹九段と茂呂有紗二段(聞き手)、ネット対局『幽玄の間』解説は安斎伸彰八段。
(記・榎本弘幸)
〈第50期天元戦五番勝負・第3局〉
白 一力遼天元 黒 芝野虎丸名人
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〈第1譜〉1―31 「驚きのツケ」
一力先勝のあと芝野がタイに戻し、互いに白番を入れあって迎えた第3局は芝野の先番(黒)。この日、25歳の誕生日を迎えた芝野が勝利でタイトル奪取に迫るか、二つ上の一力が防衛に前進するか、注目の大一番だ。
左上白18までは定石で、互いに大場を占め合う穏やかな立ち上がり。右上白22と両ガカリして、ここから碁が動く。
白30のハネに通常は黒AかBだが、芝野はノータイムで黒31のツケ。「ノータイムの黒31には驚いた」と『幽玄の間』解説の安斎。様子を利いた手で、白の応手によって右上の打ち方を決めようという意図だ。1図、白1なら黒6のオサエからワタらせる予定なのだろう。上辺は白の堅いところで、利かしの判断だ。右上が決まってからのツケは利くかどうか分からないので、いまがタイミングとみている。
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