オールジャパンで臨んだ応氏杯、AI研究会の功績と取り組み【大橋拓文七段インタビュー】
8月12、14日、9月8日の決勝五番勝負で一力遼九段が3連勝で世界一となった裏側には、AI研究会(以下・AI研、棋士の研究会の1つ)による協力があった。今回の経緯や研究会の成果など、AI研を立ち上げた大橋拓文七段にインタビューをお願いした。
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――一力九段の世界一に、AI研が貢献したという話を伺いました。どういった経緯があったか、教えてください。
「藤井くん(浩貴三段)から『(一力さんから)この形を調べてほしいとお願いがきたんですが』とAI研で話題に挙がったのが始まりでした」
――具体的に、どんな形を研究しましたか?
「上図の白1、3と仕掛けられた局面で、黒番の一力さんがコミ8目で勝つこと。ただ、一力さんの方が持ち時間を多く使う可能性が高く『盤面で10目は勝たないといけない……。厳しいね』と研究会で話していました。穏やかな局面では、コミの負担が重い。もっと頑張った打ち方を研究しないと」
※応氏杯ルールは、持ち時間を使い切るとコミ2目で35分を追加。
――決勝五番勝負の何局目を想定したものですか?
「第3局です。実戦は白1でAと打たれたので、用意した変化は活用されなかった訳ですが(笑)。AI研で研究したもの以外を、現地で一力さんと許さん(家元九段)が研究する形で、準備が進められたそうです」
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